何とも古い第一勧銀の紙袋を開けたら、大学時代の彼女、生まれて初めて付き合った初カノの写真が数枚出てきた。
古くて貼り付いて、パリパリって剥がしてみたら、懐かしさに溢れた写真だった。
その時の思い出と一緒で、写真も色褪せてた。
ハマトラが似合う初カノ、ポニーテールが可愛い・・・あれから、もう、30年近くも経つんだ・・・
俺のアパートで撮った写真、机にはキャノワードとカシオのポケコン・・・あの頃はまだパソコンなんかなくて、ワープロが単体だったなあ・・・
俺の部屋で、オドオドしながら初キスして、順番にお風呂入って、初セックス・・・
初めて女の子の裸をマトモに見て、触れて、オマンコ見たときは鼻血が出そうだったよ。
初めて見たオマンコ、ツブ貝みたいって思ったっけ。
おっかなびっくり、聞きかじったクンニして、愛液の味に感動したのを覚えてる。
初カノも震える手でフェラしてくれたよなあ。
コンドームを被せて、ゆっくり入れたけど、何度も外れて、ゴリってなってちょっと痛かったりして、それでも入っちゃうときには一気にズリュンって入った。
初カノ、痛がってたけど、
「止めないで、私で出してほしい・・・」
なんて言ってた。
処女と童貞のぎごちないセックス、終わった後の血だらけのコンドーム、股を覗き込みながらティッシュで拭いてた初カノ・・・大学1年の6月初旬だったなあ・・・
一度セックスを覚えたら、もう、ヤリたくてヤリたくて、そのうち初カノもチンポの味を覚えてきたら、もう、休日なんか朝から晩までヤリっぱなしだったっけ。
そのうち生入れ外出しを覚えて、ヤッてる最中生理がきちゃったりしたらそのまま中に出してたなあ。
「ああ~~中に出てる~~熱いの出てる~~」
なんて、もう、お互いに恥じらいは無くなってたわ。
初カノ、2年生が終わった春休みに帰省したまま、戻らなかったんだ。
今思えば、あれがバブル崩壊の初期だったんだよね。
初カノの実家の家業、取引先との連鎖倒産しちゃって、大学どころじゃなくなったんだ。
3月末にアパートに戻ったら、初カノの手紙が郵便受けにあったんだ。
実家の事情と、お別れの言葉と、俺と出会えて良かった、ありがとうって書いてあった。
初カノ、アパートを引き払いに来た時、俺のアパートを訪ねて手紙を入れていったんだと思う。
その時の初カノの気持ちを考えたら、切なかったよ。
俺、その手紙を胸の前でギュッと握って、ゆっくりとヘタリ込むように床に正座して涙を流したのを今も覚えてる。
まだ、携帯電話なんかない頃、もう、初カノとの連絡は途絶えたまま、あれから二度と会うことはなかった・・・
色褪せた写真を見たら、あの時に味わった胸の痛みや苦しみが、ほんのりと思い出されたよ。
再会を楽しみに帰省先から戻った俺を襲った悲しみの衝撃は、たまんなかったな。
あれから、1年間は初カノが忘れられなくて、恋愛できなかったな。
大学を出て、何とか地元の企業に就職したけど、帰郷した時、再会が叶わなかった高校や中学時代の友達が何人かいたんだ。
家を訪ねたら、売りに出されてたり違う人が住んでたり、取り壊されて更地になってたりした。
その時、初カノの家もきっとそうだったんだろうなと思って、泣けたっけ。
バブル崩壊の時もそうだったけど、コロナも人々の人生を奪っていったよね。
女房は非常事態宣言の10日後にパートを切られ、その後、その店は閉店に追い込まれた。
俺は、女房子供を抱えながらもなんとか頑張れてるが余裕はない。
そして、近所の商店街にある飲食店は、半分くらい閉店してしまったよ。
みんな、どっかに行っちまった・・・
幸せな日常が突然奪われる・・・そんな時に生じる別れって、残酷だよね。
初カノの時もそうだったけど、何もしてあげられない無力な自分を思い知るんだ。
今、つくづくそう想うよ・・・