駅のホームで、
「久しぶりね・・・」
肩を叩かれて振り向くと、20年前に別れた元妻がいた。
高校の同級生同士で25歳で結婚し、一児を儲けたが、二人で出席した同級会でお互いの元彼、元カノと再会、W不倫で離婚になったのがお互い30歳の時だった。
お互い軽はずみなことをしたと反省したが、妻は不倫相手の元彼の子を宿していた。
一人娘は俺が引き取り、別れた。
その後、俺は33歳で今の妻と再婚、もう一人娘が生まれて家族4人で幸せに暮らしていた。
「お前・・・元気だったか?」
「ええ、一応ね。あなたは?若い奥さんと再婚したんでしょ?」
「若いって・・・6歳年下だからそれほど若いってわけでもないさ。お前は再婚したのか?」
「元彼とね。彼、3歳年下の彼女がいたんだけど、私が妊娠しちゃったから私と結婚したみたいになっちゃった。」
「俺と元カノはお互い既婚者だったから、修羅場だったなあ・・・」
「あれから20年かあ・・・もし、別れていなかったら、今年銀婚だったね。」
「そうだなあ・・・」
5年間、夫婦として暮らし、何度も愛し合った元妻だけに、もっと話したいことがあったが、ほんの数分の会話で、それぞれ別の電車に乗って別れた。
その日、再婚した妻を抱いたが、頭を過ぎったのは元妻との営みだった。
25歳で結婚した俺達は、若い性欲を毎日爆発させた。
新婚旅行は北海道、北斗星のA寝台個室で車窓のカーテンを全開にして、車窓に結合部を向けてセックスした。
走行中だからはっきりとは見えないだろうが、もしかしたら見えるかもというスリルが興奮だった。
最初に宿泊した旅館では、中居さんに1万円を包んで、持っていった8ミリビデオで夫婦のセックスを撮影してもらった。
三脚で固定した画像よりも、様々な角度から撮影したので、体位の変化に対応したアングルがとても迫力と臨場感あふれたエロビデオに仕上がった。
夫のクンニを待ち惜しげもなく大股を広げた若き新妻、女としては羞恥極まりないその格好で夫に女陰をしゃぶられてジュルジュルと卑猥な音を立てて濡れ、その快感い虚ろになる新婦の若き女体・・・
夫の男根を受け得入れるべく股間を開き、女陰に男根を受け入れて淫らな喘ぎをカメラの前で晒した新妻の姿・・・
新妻の恍惚の表情、男根の激しい突きに揺れる乳、男根が出し入れされる女陰、そしてその女陰が淫汁を滲ませ、男根の抽送にゲル状に白濁していく様子、全て離婚するときに処分したが、俺の頭の中には鮮明に残っていた。
二日目の旅館でも貸切露天風呂で堂々の性行為、誰かが覗いているかもしれないのに破廉恥な行為に耽った。
三日目の湖の畔のホテルでは、ベランダに出て立ちバックをした。
みんな、スケベな思い出だ。
結婚生活でも破廉恥な日々を過ごし、軽く縛って辱めや異物挿入で無限快感に狂わせたり、野外露出では高校生に見つかって慌てて逃げたこともあった。
元妻との5年間は、かなり濃い性生活をしていた。
真面目なタイプの今の妻とは、正常位以外の体位さえ変態視されてしまう。
元妻との再会から1年過ぎた今月の上旬、元妻の現夫から職場へ電話があった。
元妻の夫といっても高校の同級生で知らない人物ではなかった。
要件は一つ、元妻の訃報だった。
俺の長女の実の母親の死について、俺に報告する必要があると思ったようだった。
俺は、もう、成人している娘にこのことを告げると、
「私、実のお母さんは記憶に無いの。だから、行かない。お父さんは、行ってあげたら・・・」
と言われたが、娘が行かないのに俺が行くわけにもいかなかったから、告別式への参列は見送った。
だが、元妻の告別式の日、俺は空を見上げて、ひとり涙した。
もし、あの同級会に行かなければ、俺と元妻は仲睦まじく五十路を迎え、銀婚夫婦となっていたことを思い、元妻の名を呟き、仮初の銀婚妻に、さらばと別れを告げた。