結花さん、好きでした。
前カノを忘れさせてくれたのは結花さんです。
初めてあなたと二人きりになれたとき、好きって言ったら、ラブホに入ってくれましたね。
嬉しかったです。
絡めた舌の感触、忘れないでしょう。
麗しい湿った裂け目を舐めたとき、至福の時間でした。
ゴム越しでしたが、結花さんと結ばれたあの夜、一生の思い出にします。
さよならはしたくないけど、恋は1人ではできませんから。
とどめを刺されました。
素敵な男性と腕を組んで、ウェディングドレスを見ていましたね。
好きな人が居そうだとは思いましたが、そこまでの御関係の方がいらしたのですね。
そっと現実を見せてくれて、ありがとうございました。
気持ちにひと区切りつけて、前を向くことにします。
この街の不動産屋さんから出てくる二人を見て、この街に新居を構えるんだなって思いました。
だから、少し、環境を変えて、引っ越しを考えています。
あなた方ご夫婦と同じ生活圏にいるのは、辛いですから。
偶然にでも、結花さんとはすれ違うことの無いよう、在来線で一つ南の駅近くに、いい物件を見つけました。
スーパーマーケットもあるし、渋い居酒屋もあるし、どこかホームドラマの舞台になりそうな、そんな街です。
私は間もなく、この街を出て行きます。
結花さんが前カノを忘れさせてくれたように、新しい街で、結花さんのことを忘れさせてくれる誰かに出逢うために・・・