高校時代の同級生のことが好きでした。
1年と3年の時に同じクラスで、でも友達として仲が良くて3年間結構一緒でした。
頭が良くて、良過ぎて突き抜けている感じで、学校のテストで全教科満点を取るとか、赤点常連の同級生数人を集めて勉強というかテストで良い点を取る方法を教えて全員20位以内に入れるとか、それを遊びといって面白がっていました。
一方で学校はもういいやと大学には行かないと決めて、他の人に推薦譲るために成績落としたり、なのに嫌いな先生のテストだけはやっぱり満点にして先生に何も言わせないようにしたりと、ちょっと大人気ないところも可愛くて好きでした。
集中力が凄くて、特に彼が本を読んでいる時の目が好きでした。静かなのに力があるような不思議な雰囲気がありました。
仲が良かったのですが、一緒にいるのは学校の中だけで、放課後や週末、夏休みや冬休みに一緒だったことは数えるほどしかありません。
でも彼は学校のある街が地元で、私も当時の彼氏が同じ街に住んでいたので、街中で会うことはそれなりにありました。
狭い街なので、遊べるところがそんなになかったからだと思います。
学校の外の彼は、いつも数人の友達と一緒にいることが多かったと思います。友達といっても同年代の人から、明らかに年上、それも30代とかの人もいました。
女の人と一緒のことも多くて、歳上、それも夜の女の人という感じの人ばかりでした。
腕を組むというか絡ませたり、彼が女の人の腰に手を回したり、2人で1本のタバコを吸ったり、そんなところを見てしまうと、私と彼氏と一緒なのに嫉妬のようなものを感じました。
でも長続きしないのか、女の人は頻繁に変わっていたのが、それが私にとっては救いでした。
彼と、友達ではあるけど長く続くのは私だけ、みたいな優越感にしがみついていたのだと思います。
学校では大人しい感じなのに、外ではよくわからない人たちと一緒で、その差にも私は惹かれていました。
暗黙の了解のように、外ではお互い話しかけることがなかったのですが、それでも目が合うと、気づいた彼がふっと笑ってくれるのが嬉しくて、彼氏と一緒でもいつも彼のことを目で探していたと思います。
高校を卒業してからは彼と会うこともなく、私は当時付き合っていた彼とは別の人と結婚、離婚、再婚、出産、また離婚と、あまり褒められない人生を過ごしていました。
こういう場所なので正直に書くと、私は性的好奇心が強く、10代20代は相当遊んでいました。ヤリマンだったと思います。経験人数はたぶん100人以上で、堕胎の経験もあります。SMや混浴温泉での派手な露出、輪姦サークルにも参加したことがあります。当時はまだ同伴喫茶とか呼ばれていたハプバーにもひとりで行ったりしました。
彼と再会したのは、東日本大震災の一ヶ月くらいのことでした。誰に聞いたのか私の家の前に彼がいました。
酷く疲れ切った顔をした彼は、「ごめん」「みんな、ダメだった」というと、その場で座り込んでしまいました。
私は2度目の離婚をしたばかりだったので一人暮らしをしていたのもあって、彼を家にあげました。
会社を立ち上げ、結婚して、子供もいて、2人目がもうすぐ産まれるところだった、それが津波で、会社も、社員も、奥さんも子供も、奥さんのご実家も、すべて失った、彼だけは県内の別の場所にいたため助かった、と言っていました。
助かってしまった、と言っていました。
9日間、彼を私の部屋に泊まらせました。
最後の日、その時は最後になるとは思わなかったのですが、夜、寝ている彼に寄り添うと、彼は少し戸惑ったあと、私を抱いてくれました。
ごく普通のセックスでした。なのに、あれだけ遊んできた私が、初めて音が聞こえなくなるくらいの快感で頭が真っ白になり、深く深くいってしまいました。
セックスが終わると、2人とも裸のままシーツに包まって昔話をしました。高校のこと、街中でのこと、卒業してからのお互いのこと、いろいろです。彼が、再会してからたぶん初めて笑ってくれたのが嬉しかったです。笑い過ぎて泣いてしまい、涙が止まらなくなり、私も泣いてしまいました。でも昔話が楽しくて泣いただけです。
眠ってしまい、目が覚めると、彼はいませんでした。彼の財布と、メモ書きで「この恩を忘れずに死ぬまで生きようと思います」だけが残っていました。
不思議と寂しさとかは感じませんでした。
彼の子供を妊娠していないかな、と少しだけ期待もしたのですが、そんなことはなく、私は今もひとりで頑張っています。時々セフレ的な人が出来たり、一晩だけの関係を持ったりもしますが、それはまあ、仕方ないかなって。
何となく思い出して書きました。フェイクも入っているので辻褄合わないところは許してください。
書くと、心がすっきりしますね。