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2025/07/14 18:28:24(.si..KrA)
武威と携帯電話番号とメアドを交換して別れて、家につくとすぐにメールが届きました。
「電話してもいい?」
断る理由もなく、武威と電話で話しました。
片言の日本語と、少し英語混じり。
先日の紹介からずっと、私とふたりで過ごしたかったと言われました。
「マオスーツを着ていた人はお友だち?」
と聞くと、少しの沈黙のあとで
「上司だ。」
と回答がありました。
私は歌舞伎町で仕事をしていて、不思議と堅気ではないお客さんがつきやすいので分かります。
彼らも一般人ではない。
ただ、日本のヤクザや右翼団体とは明らかに違う雰囲気があって、底冷えするような異質な怖さをなんとなく感じていました。
何時間話したのか。
夜が白んで、窓の外で鳥が囀る声が聞こえました。
「出かける支度をしたいからまた会って話そう」
そう伝えて電話を切り、シャワーを浴びて身支度をして、再び歌舞伎町へ向かいました。
25/07/14 18:39
(.si..KrA)
歌舞伎町さくら通りの、あるバーの入り口に着くと、もう武威はそこにいました。
「るか!来てくれるか心配だった」
とても嬉しそうに、すぐに私の手を繋いで、私もそれが当たり前のように受け入れました。
「どこへ行く?」
と私が聞くと、武威は少し気まずそうに
「るかを抱きたいが…一睡もしてなくて眠い」
と答えました。
決して背は高くないけど、筋肉質で強面。
歳だって38歳。私より15も上なのに。
そんな彼から「抱きたいけど眠い」なんて想定外の答えを聞いて、「この人ってなんて正直でかわいいんだろう」と、愛おしく感じてしまいました。
「いいよ、ホテル行こ。私も眠い。一緒に寝よ」
ホテルに着くと、本当にふたりともすぐにベッドに倒れ込んで、キスもせず彼の腕の中で私もぐっすり眠ってしまいました。
3時間ほどで、武威が煙草を吸う匂いで私も起きました。
「るか、我爱你。でも話しておかないといけないことがある」
と彼が切り出しました。
おそらく彼の「職業」のことなのだと直感しました。
「俺は、堅気ではない」
「わかってる」
「ヤクザではない」
「わかってる」
「右翼とかでもない」
「うん」
「なんだと思う」
「わかってるけど私からは言わない」
少しの沈黙があって、彼が水をひとくち飲んで、目を伏せたまま言いました。
「Jという組織」
「聞いたことある」
「犯罪ばっかりだ」
「知ってる」
「初めて会ったときいたマオの人は俺のボスだ」
「うん」
そしてまた少しの沈黙のあと、武威は顔をあげて続けました。
「るか、我爱你、るかは?」
「私も武威さんのこと大好きだよ」
「真的吗?」
「え?」
「本当に?」
「本当だから今日ここにいる」
「俺の女か?」
「うん」
そうしてこのとき、初めて肌を合わせました。
25/07/14 18:57
(.si..KrA)
武威の背中には、縦に数十cmの大きな傷がありました。
その日彼が服を脱いだときに傷が目に入り、
「中国マフィアは刺青しないのかな?」
「傷があるからできないのかな?」
と、少し他人事のような感想でその傷を見ていました。
「武威さん、その傷どうしたの?」
「中国にいるとき斬られた」
「まだ痛い?」
「ときどきひきつれるね。もう昔のこと」
「触ってもいい」
「ああ」
「キスしてもいい?」
「負けた証拠だ」
「関係ない。私がそうしたい」
私は武威のこの傷が大好きで、肌を合わせるたびに触り、口付けていました。
あとから聞いたら、武威の組織では死んだときに身元の証拠を残さないために刺青はしないそうです。
その日は何度も抱かれて、落ちるように眠り、翌朝別れて家に戻りました。
夜、出勤するとオーナーに呼び出されました。
「るか、お前徐武威とホテルに入っていくのを見たと言われてるぞ」
「はい」
「お前、勝手なことをするなよ?廣瀬さんに知れたらどうする?」
「でも私…」
「でもじゃないだろ?廣瀬さんいなかったらお店ダメになっちゃうよ。そしたら女の子みんな路頭に迷っちゃう。お前一人が我慢すればみんな普通に働ける。いいね?」
私の店は、Yという組織の廣瀬という男が「用心棒」をやっていました。
廣瀬は私をとても気に入っていて、オーナーは私を廣瀬の情婦としてあてがっていたのです。
「お客様来るので」
オーナーの話に返答せず、その日は仕事をしました。
この話を武威にしたら、彼はどう思うだろうか。
嫌な思いをさせたくない。でも嘘をつきたくない。
悩んで、悩んで、仕事を終えて武威に「今から会いたい」と連絡をしました。
25/07/14 19:34
(.si..KrA)
仕事が終わる時間に、武威は店の前まで来てくれました。
「ごめんね夜遅く」
「大丈夫、でもどうした?」
「話がある」
喫茶店の隅で、廣瀬のことを打ち明けました。
武威は黙って話を聞き、私が話し終えると
「ちょっとボスに電話」
と言い、中国語で数分通話をしていました。
通話が終わると、武威は優しい声で
「少し歌舞伎町を歩こう」
と言いました。
そして喫茶店を出ると夜なのにサングラスをつけ、私に
「腕組もうか、もっとくっつきなよ」
と言い、ゆっくりと街を歩き始めました。
歌舞伎町で暮らす武威は、街を歩けば知り合いに会います。
声をかけられるたびに、「彼女か?」と聞かれ、そのたびに武威は「俺の女だよ」と日本語や中国語で話していました。
そうして歩いているうちに、私が勤める店の近くに来ました。
私が武威から離れようとすると、武威は
「なぜ離れる?」
と言って強く腕を引きました。
そして、店の前でゆっくりと煙草を吸い始めました。
少しすると、店の地下階段からオーナー、そして廣瀬が現れました。
私は心臓が止まりそうで、怖くて、ずっと下を向いてました。
「るか!お前」
とオーナーが私に強く声をかけました。
返事ができずにいると、武威が代わりに答えました。
「何かダメだったか?俺はあんたを待ってたよ」
オーナーは武威を見ると、少し後ろへ下がりました。
廣瀬は一言も話さず、ただじっと私と武威を見ていました。
「これは、徐武威さん…」
「她是老子的女人,别碰。」
オーナーが武威に話しかけるのと同時に、武威はそう言いました。
そして私に
「用事は終わった、行こう」
と言って、オーナーと廣瀬の前から立ち去りました。
25/07/14 19:57
(.si..KrA)
タクシーを拾って乗ると、武威は「パークハイアット」と一言告げました。
「どういうこと?」
と私が聞くと
「もう大丈夫」
とだけ答えました。
パークハイアットに着くと、スイートに案内されました。
「5日間取ってある。俺もここで仕事する。るかは5日間休め」
「お店が良いと言うか…」
「良いと言う。休め」
そして少し、イライラしたように何か中国語でつぶやくと、私に
「シャワー浴びてこい」
と言いました。
今までの優しい武威とは違い、明らかに苛立ちが見えました。
そして、私を見ず煙草を吸う武威の横顔が、ゾッとするほど無表情だったことを今でもよく覚えています。
それでも、シャワーを浴びて部屋に戻ると、武威はいつもの優しい武威に戻っていました。
「俺もシャワー行ってくる」
そう言って彼はシャワーを浴びに行きました。
彼はシャワーから戻ると、私にベッドに腰掛けるように言いました。
言うとおりにすると、彼も隣に座り、私の頬をそっと撫でました。
ザラザラした手。節くれだった指。私は初めて武威に抱かれたときから、この手が大好きでした。
「我爱你,别想离开我。这辈子你都是我的,谁都别想碰你。」
「え?」
「这辈子你都是我的。」
「わかんないよ」
「这辈子…」
「武威、なんて言ってるの?」
武威は小さくため息をついて、私を見つめてたどたどしく言いました。
「るか、愛してる。俺から離れるなんて考えるな…这辈子…一生、この人生、お前、るかは俺のものだ。誰にも触らせるな」
目を見たまま、ゆっくりと日本語で言われ、頭の中が痺れるような高揚感が私を支配していきました。
「武威さん、私も、武威さんの言葉で伝えます。我爱你。」
「真的吗?」
「私は武威さんに絶対嘘をつきません。」
その日からの5日間、私たちは何度も身体を重ねて、お互いを確かめ合いました。
25/07/14 22:12
(.si..KrA)
パークハイアットで過ごした3日目に、
「なぜあのとき『もう大丈夫』になったの?」
と質問すると、武威は
「それを本当に知りたいか?」
と言いました。
そして少し考え、「他の話ならするが」と前置きして話し始めました。
あの日、歌舞伎町をふたりで歩いた意味。
徐武威は中国人社会だけでなく、歌舞伎町で生きる裏社会の男の間ではよく知られた存在だったそうです。
その武威が連れて歩く女、聞かれれば「俺の女」と堂々と言う女を連れて歩く。
周りに公認させることで、誰にも手出しさせない。
「俺はお前を『俺の女』と言うことに何もためらいがない」
武威は私に対して、なんの躊躇もない愛情を注いでくれていました。
そうして、何事もなく穏やかな日々が過ぎて行きました。
武威は歌舞伎町から無断で出ることを固く禁じられていました。
だから私たちは、歌舞伎町か、ボスが抑えたホテルで会うことが多かったけど、時々武威は私の家に突然くることがありました。
「大丈夫なの?」
と聞くと
「大丈夫じゃないが大丈夫」
と笑って答えていました。
それでも、3日後に会って服を脱ぐと、背中や太ももに黒くなるほどの打ったような痣がありました。
「俺のボスは厳しいよ」
そう言って武威は笑っていたけど、その痣に触れると顔を歪めていました。
25/07/14 22:38
(.si..KrA)
武威と1年半ほど交際が続いたある日、私は初めて彼が外で「仕事」に向かう姿を見ました。
お店で氷かなにかなくなってしまい、東通りにあった「エニィ」というスーパーへ買い出しに行ったときのことです。
東通りの奥に、黒い人影が3人見えました。
3人とも真っ黒なマオスーツを着て、サングラスをかけていたんです。
そのうちのひとりが武威でした。
武威は左手にアタッシュケースを持ち、無表情にまっすぐ前を見つめていました。
他のふたりが武威に話しかけようとすると、右手を軽く上げて制止するような仕草をしていました。
とても話しかけられる雰囲気ではなかったし、私はここから一刻も早く立ち去らないといけないと感じました。
そうしているうちに、3人が私のいる方へ歩き始めました。
踵を返すのも不自然です。私は、なるべく分からないように、俯いて3人とすれ違いました。
でも、確実に武威は私を見ていました。
今まで感じたどの視線とも違う、無感動で無機質なそれは、私にとって完全に別人だと感じたのです。
この日の遭遇については、お互いまったく触れることがありませんでした。
武威の「仕事」は分からなかったけど、分からないまま触れないことが、「徐武威の女」である条件のように感じていました。
25/07/14 23:21
(.si..KrA)
武威との交際から1年8ヶ月が経っていました。
その日武威から「大事な話があるが家まで行きたい」と言われ、仕事が終わってからふたりでタクシーに乗り私の家に向かいました。
車中はほぼ無言です。
少し、嫌な予感が過りました。
家について、鍵をかけると、武威は大きく息をついて「やっと話せる…」と言いました。
「るか、你到底爱不爱我?」
「え?」
「あー…俺のこと愛してるか?」
「うん、私は武威さんのこと愛してます。」
「真的吗?」
「本当だよ。どうしたの?」
ちょっと煙草吸わせてくれ、と武威は言うと、ゆっくりと吸い、煙を吐いて続けました。
「るか。中国行こうか」
「いいよ。旅行?」
「違う。」
「お仕事?」
「違う。」
「え?」
少しの沈黙のあと、武威は私の目を見て言いました。
「上海で暮らそうか。中国に行って結婚しよう」
これが、普通のプロポーズではないことはすぐに分かりました。
中国黒社会の一員と「婚姻関係」になり渡航する。
それは私も、黒社会の一員となり生きていくということです。
意味はすぐに分かったけど、私には逡巡する間もありませんでした。
「ありがとう。わかった一緒に行こ。パスポートすぐ手配するから」
「パスポートは取るな」
「どうして?」
「俺と同じ手段でないとダメだ。お前のパスポートは俺が用意する。」
旅券偽造での出国。
日本へは二度と戻れない可能性がありました。
それでも私は、徐武威のために人生を犠牲にしてでも一緒に生きて行きたかったのです。
「わかった…身内にも渡航のことは言わないほうがいいね?」
「ああ」
「誰にも言いません。武威さんにすべて委ねます。」
「ああ…俺は組織も抜ける。誰もこのことは知らない。パスポートは10日後にできるだろう。」
そして武威は私に
「るか、我爱你。这辈子…」
と言って、ゆっくり時間をかけて私を抱きました。
25/07/14 23:51
(.si..KrA)
プロポーズされた日、武威は帰り際に言いました。
「これは組織への裏切りだ。発覚したら少なくとも俺は無事では済まない。るかに危害が及ばないように今までボスや周りに信頼関係を作ってきたが、今回はどうなるかわからない」
武威は続けました。
「パスポートができたら身体一つで中国へ渡る。身分がわかるものは絶対に持ってくるな。金は俺が用意する。お前は待ち合わせ場所までの交通費と、目が悪いからメガネくらいか?それだけしか持ってくるなよ」
そして、少し間をおいて、重く続けました。
「パスポートができたら連絡するが…待ち合わせ場所に、時間より30分経っても俺が来なかったらすぐに帰れ。俺を絶対に探すな。電話もするなよ。意味がわかるよな。」
「…わかった。そうならないように祈ってる。会えるように。」
「じゃあ、るか。我爱你。」
「武威さん。我爱你。」
「真的吗?」
「はい。私は武威さんに絶対嘘をつきません。」
武威は帰っていきました。
25/07/15 00:08
(0HZp0tna)
それから1週間後、武威から電話がありました。
「パスポートはできたがちょっとまずいことになった…」
「どうしたの?」
「イミグレが俺を探ってる。公安も。」
「今?なんで今のタイミング?」
「わからない…」
「私はどうしたら?」
「落ち着け、お前はまだパスポートを受け取ってない。何も関与してない。いいか?」
「待って、武威さん捕まる?そしたらどうなる?武威さんだけ帰される?いやだ」
「るか、ひとまず3日後の午前3時、エニィの前だ。でも3時半になっても俺が現れなかったら」
「現れなかったらなんて言わないで…」
それから3日間、私はほとんど眠れませんでした。
そして約束の日の午前3時。
待ち合わせ場所に行き、30分待ち、心臓を抉られるような気持ちでひとりで家に戻ったのです。
25/07/15 00:16
(0HZp0tna)
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