出張で訪れた懐かしい街。
金曜日だったから、市内に宿を取って、翌土曜、思い出のある場所に行ってきた。
新幹線の駅から私鉄で6駅、郊外の住宅地に降り立った。
東へ歩くこと数分、平屋の戸建てが立ち並ぶその聞く性角の一軒…VWがとまってる…ということは、彼女はまだそこにいるようだった。
訪ねてみようか、迷っていると、自転車に乗った彼女がまっすぐ俺の元へ走ってきて、
「珍しいお客さんね。お久しぶり…」
彼女に会うのは、もう、12年ぶりになる。
この街の大学に通っていた俺は、ある芸術をたしなむ彼女と知り合い、仲良くなった。
俺20歳、彼女は32歳だった。
彼女はとても美人で、矢田亜希子に似ていた。
その美貌と、三十路の妖艶さに夢中になり、押し倒すように口説いた。
強引だったが、思いを遂げた。
俺にとって、人生で二人目の女性だった。
それからは、週末は彼女に家に入り浸り、彼女の芸術のサポートをしながら、彼女を抱いた。
一回り年上の艶めかしい女体は、男子大学生を虜にした。
女子大生にはない、熟れた女体はピチピチではないけれど、熟女と呼ぶにはまだ早い瑞々しい色香を放っていた。
股間を愛でれば、そこには幾ばくかの男根を咥えたであろう痕跡を残す女陰が濡れた。
女子大生のような桃色の女陰と違い、紅色に熟れた経験値を窺わせるその様相は、艶めかしく卑猥で、何時間も鑑賞していたくなる女陰だった。
週末は5~6回交わった。
生で交わり、全て中に精液を解き放った。
彼女は不妊症で、美貌だが所帯を持つことはなく、芸術に打ち込んでいた。
贅は尽くせないが、芸術一本で生きていた。
俺は、彼女と一緒になりたいと心から思ったし、それを度々口にした。
「あなたは、地元に就職するんでしょ。大学を卒業するまでのお付き合いにしましょ。」
と言われた。
地元に就職し、彼女とはお別れした。
俺22歳、彼女34歳、最後の精液を注ぎ込み、私鉄の駅で彼女に見送られた。
「さよなら。元気でね。」
「お元気で。さよなら。」
新幹線の駅に向かい、帰郷した。
あれから、12年の歳月が流れた。
再会した45歳の彼女は、とても美しく年を重ねていた。
俺は34歳、別れたときの彼女の年齢になっていた。
俺の左手の薬指を見て、
「結婚、したんだね。じゃあ、部屋には招かないわ…元気だった?幸せになってる?」
「ええ、7年前に結婚して、5歳の娘がいます。幸せなので、安心してください。」
「そう、よかった…じゃあ、もう帰りなさい。そして、二度とここに来ちゃダメ。わかった?」
「はい…さよなら…どうか、お元気で…」
「さよなら…」
ほんの、数分の面会時間だったけど、とても懐かしく、そしてどこか切なさが残った。
彼女は、これからも独りで生きていくのだろう。
地方都市の住宅街の片隅で、ひっそりと…
そんな彼女の存在を、書き記してみた。
彼女に幸あらんことを祈って…