これは、咲月と知り合う前のお話です。
私が入社して5年ほどたった、27歳の頃、裕美と知り合った。
私から裕美にアプローチしたわけでなく、同期入社の大原が、
「女子二人と一緒に水族館に行かないか?」
と誘って、そのうちの一人が裕美だった。
女子二人は姉妹で、妹の方が大原が担当する取引先の社員らしく、大原の車が
スポーツカーで、それに興味を持った妹が誘いに乗り、姉も誘いダブルデートとなった。
当日、大原の車に私も乗り、で女子の車と待ち合わせした。
第一印象は、姉妹とも小澤陽子アナウンサーに似ていて、姉の方はおっとりした顔立ち、
妹の方はシャープにした顔立ちで、私は姉に一目惚れした。
妹は助手席に乗り、姉は後席、私と隣同士だ、姉は無口だけど、妹は良く喋り、
良く笑い話もはずむ。
大原は、軽快に車を走らせ、目的地の水族館に到着し降りると、水族館に入った。
途中水槽の中の魚達を見学し、アシカショーを見て歓声を上げ、昼食は水族館内で食べた。
私は、軽い筋トレをしているせいか、かなり食べることができるので、ここでいいところを
見せようと馬鹿な考えに取り憑かれ、ラーメンとカレーライスを食した。
姉は、私の注文したラーメンとカレーライスを見て驚き、妹は、
「大丈夫なの?」
とつぶやいた。
私が完食したのを見て、姉は、
「男の人は、それくらい食べるのね」
と変に感心し、妹は、
「お腹大丈夫?」
と言っていた。
その後、水族館から都市部にドライブし、評判のカフェに行き、美味しいコーヒーと
ケーキを食べた。
大原は、ダブルデートの最後を飾るべく、5月の夕日が沈む日本海が良く見える海岸脇に
車を停めた。
私達は車を降り、夕日を写真に撮った後、記念写真を摂ることにした。
私は姉の裕美に、
「一緒の写真お願いします」
と言い、頭を下げた。
裕美は、
「はい」
と答えると、私の隣に来て、私の腕に手をからませ、私はかなり驚きながらも表情をとりつくろい、
大原にスマホを渡し、写真を撮ってもらった。