今から、約5年程前の話です。
当時、まだ自分は上京しておらず、過疎化の進んだ田舎に暮らしていました。もちろん、子供の数も少なく小学校クラスメイトはたったの3人しかおらず、友達というより兄弟みたいに仲が良かった。特に一人の女の子『k』は小学校に入学する前から家族ぐるみで仲が良かった。
そんなこんなで、中学二年生になったとき人数の関係で中学校は廃校になることが決まり、移転先の中学校までは片道二時間以上かかるので、自分は上京して親戚の家に居候することになった。
そこで、自分は上京をするためkに意を決して告白することにした。
上京前日に夏になると毎年の様にkと一緒に町の神社で行われる夏祭りに出掛けていたので、この日の夜に告白することにした。
当日になり、午後7時に神社前で待ち合わせをした。待っていると『お待たせ~』とkが浴衣をきてやってきた。今迄は普段着と制服でしかみたことがなかったので、自分の目にはKが眩しく見えた。話をしながら、楽しんでいると時間はあっという間に過ぎ、気ずけば九時になっていた。Kが『時間だし、そろそろかえろっか?』と言ったので、自分はKの手を引き神社の裏手にKを引きつれた。Kが『どうしたの?急に』と慌てていた。そこで気持ちを整えてKの両手を握り、見つめて『上京しちゃうけど…Kのことが…好きです。付き合ってください。』そう告げるとKは下を向き、1分ほど沈黙が続いた。Kに『どうしたの?』と言うと、何故か泣いていた。自分は何故、Kが泣いているのかが分からず、動揺していたとき、Kが『私もずっと一緒にいたい…けど…そうはさせてくれないみたい…』と言うと、Kは自分に抱き付いてきた。自分もKを抱きしめようとすると、Kは『お願い…悲しくなるから…抱かないで』と言うと、涙目で見つめてきた。今でも、あの顔は忘れられない。
それから30分ほど泣きながら抱き締められ、Kが落ち着いてきたので、帰ることにした。帰りは二人とも何も話さず、終始無言だった。
Kの家の前につくとKに見つめられて『ごめんね…』といわれ、別れた。
しかし、そのことばが二人の最後に交わす言葉だとは自分は思っていなかった。
次の日、自分は上京し、地元をあとにした。
それから、二年がすぎたある時、一通の手紙が届いた。差出人はKの父名義であった。そこには、Kが亡くなったとのことが書いてあり、呆然とした。
その時悟ったのはKに言われた『そうはさせてくれないみたい…』という言葉。
そのことばの意味をやっと理解した。