かれこれ20年近く前になります。時期的にはもう少し先になりますが、
この時期になると思い出します。あのときの列車も今は新型になってしまい
ましたが・・・。
当時、就職して2年目の僕は東京の本社で半年間の研修を終え夜行列車で
帰路についていました。(飛行機代は出してもらえませんでした)長い研修を
終え安堵した事と、半年間いろいろ心細かった事いろいろな思いを抱えた旅
でした。
そんな列車の中で、偶然出遭ったのが中学の時の同級生で同じ吹奏楽部だ
った「智江」でした。彼女は東京の大学に進学し、冬休みの帰省で故郷へ帰
る所でした。
はじめは食堂車で、食事をしながら、高校からは別々の道へすすんでいた
ので、いろいろ思い出話や今までにいろいろあったことを語りあいました。
食堂車の閉まる時間となったので、デッキで話していたけど夜も遅くなり、
また寒くなったので僕の個室へ(本当はいけないらしいんだけど)彼女を招
き、ビールで乾杯。話しているうちに「恋の話」になると、急に彼女が泣き
出した。聞いてみると好きだった彼氏に二股かけられ、別れたばかりって事
で、聞いてもらってうれしかったって抱きついて来ました。
僕も正直、中学生の当時1番ではなかったけど彼女のことを意識していた
ので、当然のなりゆきって言うか、大人?の二人は夜汽車の中で結ばれまし
た。翌朝、目が覚めたときには彼女は自分の部屋に帰ってて、また合ったと
きには何もなかったような顔で「おはよう」ってあいさつを交わし、駅へ着
いてからは僕は会社へ挨拶に、彼女は父親が迎えに来ていました。
それ以来意識するようになり、冬休みには何度か彼女の家が商売をしてい
たので「お客」として行き、彼女の母親には割りと気に入られていたので客
間まで上がりこんで話をさせてもらいました。
冬休みも終わり彼女は学校へ帰り、たまに手紙をやりとりするようになり
ましたが、衝撃の告白がありました。彼女に新しい「命」が芽生えたような
のです。ただ、それが僕なのか、二股の元カレなのか時期的に判らないそう
で・・・。
僕は、どちらでも構わなく彼女を守って結婚してもいいって思い、彼女に
そう言いましたが、とりあえず彼女は一旦こちらへ帰り相談する事になりま
したが、元々二人姉妹だった彼女を跡取りに考えていた彼女の父親は大激
怒。
僕はそれに逆らえず、結局別れさせられました。後に、彼女は体調を崩し
て入院、この時の子供は流産してしまいました。
その後、彼女は無事卒業後こちらへ帰省し、音楽塾の先生となり、婿を迎
え、子供も2人出来ましたが、旦那さんの浮気がもとで離婚。実家で両親、
子供と暮らしています。
あの時、僕が彼女を守ってやれていたら、お互い違った人生になっていた
のかも・・・。
僕は以来これがトラウマとなり未だ独身です。