体験ではなく目撃した出来事。
休日の昼間、地方の電車に乗っていた。車内は空いていた。私は扉近くで立っていて、近くの対面席の窓際に 真面目そうなメガネの女子高生が本を読みながら座っていた。
そこへ他の車両から50代くらいの男が歩いてきた。濃い紫色のストライプスーツ、見るからに怪しかった。女子高生を見つけると足を止めた。他に席が空いているのに隣へ座った。男は上着を着ているのに もう1枚上着を持っていた。その上着が女子高生のスカートの上までかかっていた。
お互いの太腿がぴったり付き、男の手が上着の中に入っていた。腕の角度から痴漢していることがすぐにわかった。突然の出来事に驚き、ただ横目で見守ることしかできなかった。暫くすると男と目が合った。動揺することもなく直視され、私が目をそらしてしまった。
そのあと女子高生は突然立ち上がり 対面席に移動して避難した。すかさず男も立ち上がり対面席に移動するとともに 座っていた側の背もたれを引き、2人だけの席に変わってしまった。女子高生は男と 前後の背もたれと窓際の壁に囲まれ完全に逃げ場を失った。その男の手際の早さは常習犯にしか見えなかった。
私の角度からは 2人の背中 肩から上しか見えなくなった。2人とも動かず座っていたが、痴漢していることは確信できた。
暫くすると女子高生の頭が動き 少し落ち着きのない様子を見せた。男がその様子を見て耳元に近づき一瞬何かをつぶやいた。その後 女子高生は 窓際の壁へもたれ掛かる様に頭を付けた。男から少しでも離れようと距離を取っていると思った。しかし様子を見ていると違うようだ。どうやら体がグッタリしている様に見えた。そして男は何度も耳元に近づき一瞬何かをつぶやいていた。
通路を挟んだ同じ列に男2人が座っていたが、全く気が付いていない。あの状況でよく痴漢をするなと驚いていた。
男は全く体を動かさず 女子高生だけが時々頭を動かしていた。そのうち壁側へもたれ掛かったきり動かなくなった。2人はそのまましばらく動かなくなった。
その後 男は座ったまま両手を通路側に向け、女子高生とは逆の方に体と視線を向け始めた。上着も自分の膝上にあるようだった。
痴漢が終わったとすぐにわかった。次の駅で男は降りていった。数分間停車していたが、閉まる直前に女子高生も降りていった。同じ駅たったので 降りるか迷っていたのだろう。
その振り返ったときの顔は 不愉快に満ちた表情だった。
何も助けられなかった自分と勝手に興奮してしまう体が嫌になった。あの出来事を何度も思い出してしまう。
後日、この出来事を知人達に話しても 誰も信じてくれなかった…