ちょっとHな体験

去年のお盆休みに経験したちょっとHな出来事です。

お盆休みの二日目、お昼は夫と外食し、午後は一緒に庭木の剪定と芝刈りをしました。
真夏の作業ですから二人とも汗びっしょりで、終わるとすぐに車で市内の公衆浴場に向かいました。
昭和の面影を残す番台式のお風呂屋さんで、セピア色の脱衣場、白いタイル張りの洗い場、浴槽の熱めのお湯に心身とも癒されます。
お年寄りや私のようなオバサンだけでなく、二十代、三十代の方や子どもを連れた若いお母さんも利用していて、番台には女将さんと八十歳前後のご主人が交代で座っています。

数台しか停められないお店の前の駐車場は満車で、夫は少し離れた所にある第二駐車場まで車を停めに行きました。
私は一足先にお店に入って、番台の女将さんに二人分の代金を払いました。
メガネを外して（普段はコンタクトをしているのですが、お風呂屋さんに行くときはメガネです）服を脱いでいると、番台を交代する時間が来たようで、男湯と女湯を隔てる間仕切りの扉が開いてご主人が脱衣場に現れました。
番台への上がり口は女湯側にあるのです。

番台に上がったご主人に女将さんは「お二人分の代金を頂いてますからね」と伝えると、私に「どうぞごゆっくり」と言い残して出ていきました。
洗い場には二人のお客さんの姿が見えましたが、脱衣場は私一人です。
ブラを取りパンティを脱ぐと、レトロな体重計に乗りました。
文字どおり素っ裸でタオルも手にしていないのに、体重計の針は52kgを指しています。

「まだ最低2kgは落とさなくちゃ」と思いながら顔を挙げると、ご主人が前も隠していない全裸の私を番台からジッと見ているではありませんか！
このお店にはもう何年も通っているので、今では番台のご主人にも特に抵抗はありませんが、それでも裸をジッと見られると羞恥心と警戒感を覚えます。
「イヤだー、見ないで！」と思いましたが、それと同時に「いつも見慣れたオバサンの裸を、何をもの珍しそうに見てるのかしら？」という疑問も感じました。

この疑問は帰りの車の中で、思わぬ方向に膨らんでいきました。
第二駐車場に車を停め、私に遅れて男湯に入ってきた夫に、ご主人は「キレイな方なんで誰だろうと思ったら、奥さんだったよ！メガネをかけてないし、スッポンポンだから分からなかった」と話しかけてきたというのです。
夫の顔を見て私が誰だか思い出したようですが、キレイと言われて嬉しかった半面、ご主人が「イイ女だ。もう、堪らん！」というイヤらしい気持ちで全裸の私をジッと見ていたのではないかと思うと、胸騒ぎを覚えました。

お店を利用し始めた当初、番台のご主人を目にしたときは「イヤだー！」と思いましたが、そのときでさえ私は前を隠そうとはしませんでした。
番台が男の人だからといって前を隠すような真似をするのは、相手を異性として意識しているというメッセージを発しているようなものだし、それに若い娘ならいざ知らず、いい歳をしたオバサンがそんな真似をしたら自意識過剰みたいじゃないですか（笑）！
だから、ご主人が番台に座っていても、私はこれまでタオルで胸や下腹部を隠したりしたことがありません。
そんな私をご主人は、いつもイヤらしい目で見てたのかしら？
なんてことを考えているうちに眠ってしまった私ですが、翌朝になるとモヤモヤした気分は晴れていました。

というのも、目が覚めたとき、
「キレイな方」というのは枕詞かお世辞で、ご主人の話のポイントは、夫の顔を見て初めて私が誰であるかが分かったということではないのか？
だから、昨日のご主人は「誰だったかな？」という気持ちで私を見ていただけではないのか？
もしイヤらしい気持ちで見ていたのであれば、私が顔を上げた瞬間、「マズイ！」と思って目を逸らすのではないか？
ということに気付いたからです。

それに「スッポンポンだから分からなかった」という言葉も、イヤらしい気持ちがあれば夫に対しては使わないでしょう？
「女なんて裸になれば、胸が膨らんでいて下腹部には黒い茂みがあり、お尻が丸いことでは皆一緒で、服でも着ていないと誰だか見分けがつかない」というのが、様々な女性客の裸を見てきたご主人ならではの率直な感想かもしれませんね（笑）！

お盆休みの最終日も夫と一緒にお店を利用しました。
番台にはご主人が座っていましたが、特に私の方を見ている様子はありませんでした。
どうやら前回、全裸の私をジッと見ていたのは「誰だったかな？」という気持ちからのようです。
ホッとした反面、何だか少し拍子抜けしました（笑）。