僕はいつもの通勤電車に乗り、
向かい合わせの座席に座ってました。
資格試験を受けるため、通勤中でも本を開いて
勉強してました。すると、本を開いている
手の中指に何かが触れるのを感じたのです。
中指を見ると、ちょうどズボンのファスナー
あたりに、ほんの少し触れていたのです。
電車が揺れて触れたのかと・・気にせずに
本を読み進めていますた。
すると、また、今度は割とはっきり触れるのが
分かりました。
なんだ、コイツと思って、顔をみると、
なんと、少し小太りの若い女性です。
それから、中指が敏感になり、
ちょっと触れるだけでも気になりだし・・
そして、今度は少し積極的に中指を動かして、
ファスナーの下あたりをちょっと押してみると、
弾力のある暖かさを感じたのです。
相手も分かっているのではないかと思いながら、
何度も電車の揺れに任せて触れました。
相手は姿勢や位置を変えることもなく、
平然と外を眺めています。
僕は絶対に分かっているはずだと思いながら、
回りの目も気になりつつ、平然と本を読んだ
ふりをしてました。
しかし、5分以上も経っているのに、
1ページも進んでいない不自然さと
今、この指を動かしたら同じ位置へ
戻すのは、さらに不自然だなとの
葛藤が渦巻きながら、柔らかい暖かさを
感じながら、時間は過ぎました。
そして、彼女は駅で降りて行って
しまったのです。
今、追っかければ何か起こるかも・・
と思いながら、座席で想像だけが
膨らんでいました。