地方都市まで車で2時間ほどの、人口3万人ほどの小さな町に住んでいた。
電車はあるものの1時間に止まる数は片手で足りる程度、バスも数時間に1本程度だけどスーパーもコンビニも銀行もあって生活するには困らない、そんなよくある地方の田舎町。
初めて大人からの性被害にあったのは30年ほど前の小学1年生の時。
自宅の裏(道路を廻って行くので距離的には100mあるかないかほど)に空き家があった。
おそらく商店を兼ねた自宅であったであろうその建物は、広い軒の奥にある玄関というより大きな掃き出し窓のような入り口がトタンや看板のようなもので塞がれ、床はほとんど腐って抜け落ち、地震などなくともいつ崩れ落ちてもおかしくないようなものだった。当然大人達からは近づく事を禁じられていたが、好奇心旺盛だった私の興味を惹きつける事になり「秘密基地」と称してしばしばトタンの隙間から忍び込んで遊び場にしていた。
ある日、いつものように「秘密基地」で遊ぼうと中を覗いていると、前の道を1台の白い軽トラが通り過ぎて行った。