あの日、私は自分の弱さ、そしてずるさを垣間見ました。
昨年7月の話です。兵庫県の東二見という場所にある、とある建築会社で事務職をやっていた私(26歳OL)は、その日も無事に17時に帰宅しようとしていました。
この会社で働き始めたのは2年前ですが、東二見の営業所には昨年の7月から異動という形で配置されており、実際に事故を起こしてしまったのは異動してきたばかりの話です。
その日、17時の定時になり、須磨区に自宅がある私は125ccのスクーターで明姫幹線という道路に出るために、いつものペースで若干、混みつつある道のりをバイクで車のよこをすり抜けて帰っていました。
バイクですり抜けていく、という行為はバイクに乗り始めた当初からやっていた事でもあるし、そもそもすり抜けれる事がバイクの特権。くらいに思っていてなんの罪悪感もなければ、危険とも感じておりませんでした。
ですが、その日、とうとうやっちゃったのです。
いつ戻り、スイスイとすり抜けていっった時、一瞬は考えました。(ちょと狭いかな・・)と。でも今まで何度もすり抜けの成功例しかなかった私は(いけるかなー)と思いつつもバイクを前進させていったのです。
案の定、、「カツン!」と車のミラーとバイクのミラーが接触する音が鳴り、思わず運転手の顔をみた私は運転手が「なにあてとんじゃこら!!!」という形相で私をにらんできてるのが見えたのです。
この時私は、今まで事故なんて起こしたこともなかったし、心のどこかで(ちょっとミラー同士が当たっただけだよね。壊れてる訳じゃないし、問題ないよね)と軽く運転手に(ごめんなさいね~)という意味もこめて会釈し、そのまま2Mくらいさらに前進。赤信号で待機していたのでした。
この信号で待っているときの気持ちは(きっと子供も乗せてる運転手だから、何事もなく許してくれるよね・・・)とドキドキしていました。ですが、そうは甘くはありませんでした。運転手はすぐに下りてきて、「何逃げようとしとんじゃ!!!!バイクあっちに移動させろや!!!」と命令してきたのです。
自分でも逃げようとしていたのかどうかはわかりません。ただ、どうしていいかわからなくて(ついでに信号が赤だったし)硬直していただけとも言えます。ただ心の奥底で背後にある車から「ねーちゃん、きーつけやー」とか言いながら通り過ぎてくれる・・・だろう。といった淡い期待をもっていただけ。そんな感じでした。
ですが、実際は年齢45歳くらいの男性の方が、恐ろしい形相で「警察よばんかい!!!!」と怒鳴りつけてくるのでした。
そして私はバイクを近くにあった駐輪場の中に入れ、すると運転手も止まった私の隣に横付けしてきました。私にとっては恐怖以外の何物でもなく、ミラーが壊れたとか言われて弁償しろとか言われたらどうしよう・・!!!と心の中でそんな想定ばかりを考えていました。
ですが、状況としては警察を呼ばなければなりません。私は相手の指示通り素直に警察を呼び、、そして警察が来るのを待ちました。
この警察がくるまでの間が5分~10分かかっていましたが、運転手はただ仁王立ちで私の前に立ちふさがり、私はただ、しょぼん。。と突っ立っているだけでした。
私は(どうかんがえても私が悪い。。100とゼロだ・・)と覚悟を決めたというか(もう謝るしかない。。。相手に非は全くない・・・)と考えていました。
それから警察がバイクできて、事故の状況の確認と免許証と自賠責の紙を出すように言ってきたのです。
この時点ですでに次の不幸がきまっていたのかもしれません。
私はその時、運転免許証はすぐに出せましたが、自賠責保険の紙を会社に置いて来ていたのです。
なぜ、自賠責の紙を会社なんかに置いているのか。それは私が7月から異動してきたばかりであり、会社に対して通勤ルートを書いた書類を提出するのに、自賠責保険の番号、任意保険の番号が必要であったため、たまたま会社に書類を持ってきていたのでした。
その事情を警察官に説明すると、「会社近いの?何分くらい?」と聞かれたのです。私は本当は15分くらいかかる距離ですが、その時は「10分以内には持ってこれます。」と答えてしまいました。なぜ10分と短く答えたのか、それはただ単に警察を待たせてはいけない。相手も待たせてはいけない。15分といったら「そんなに長いのかよ!!待てるか!!」とかさらに怒られそうで10分と答えてしまいました。
すると警察は「10分くらいなら待ってるから、相手にも話聞かないといけないし、その間にとりに行ってくれる?」と言われたのです。私は「わかりました。すぐ取りに行きます!!」と答え、またバイクにのってきた道を戻っていきました。
私の計算は甘かったのです。東行きの道はスイスイこれたのに、西行の道はけっこうな混雑模様でした。私は(私のせいで人を待たせている・・!!!早くしなきゃ!)という焦燥感でいっぱいで、とうとう・・・またやっちゃったのです。あの・・すり抜けを・・・。
(これだけ広いスペースあれば問題なくすり抜けれる・・)そう思い、緩やかにアクセルを回していきました。そして問題なく、問題なく、スイスイっといつも通り車を抜かしていくのですが、すると!!!!!!
「うわあ!!」 キィ~~(ブレーキ音) 「ス、スミマセン!!!!」
事もあろうに、、、またやっちゃったのです。。。。。同じ失敗を・・・しかも、この短時間の間に!!!!!
今度は対人でした・・・・・・・!!!!!!!
なぜ歩行者が突然、現れたのか。それは車の列で完全に路面の景色が車体の下に消えており、その場所は実際には「信号機ない交差点」だったのです。
もともとノロノロ走っていたので相手に強いダメージを与える事はありませんでした。ブレーキもかけておりましたが、ただ・・バイク本体に少し、かなり少しだけですが相手の体が接触しており、人身事故といえば完全な人身事故を起こしてしまったのです。
年齢50代くらいの方でした。私は「すみません!!けがはないですか?」とごく、当然のやり取り重ねていきましたが、その人も「ケガはないけど、、とりあえず警察よぼうか」と言っていたのです。
(け、、けいさつ・・・・)
この時の私がどういう心境だったか。もう書きしるす必要もないと思います。
私は「あの、、警察を呼ぶのは勘弁してもらえませんか?必ずちゃんと謝罪しますので!!!」と言いました。それから「いやいや、そんな事言って逃げようとしてるんじゃないの?」なんて言われて、そんなやり取りをした挙句・・・「仕事の都合上、どうしてもすぐに持っていかないといけない書類があるのです。すぐ近くです。必ず戻りますからここで待っててもらえませんか?お願いします!!!」と相手に強く要望し、さらに「変わりといってはへんですが携帯と財布を預けておきます。すぐ戻りますから!」とまでいうと、「わかったよ。じゃあっちのコンビニの駐車場いるから。白のシエンタ乗ってるから。あの車ね(少し離れたコンビニの駐車場を指さす)」
(やばいことになった。本当にやばい・・・・・!!!!!!!!)
私はもう頭の中はパニック。ただ、会社に帰って自賠責の用紙をとって、すぐに事故の場所に戻る。そして・・・・え~~と!!!!
と完全に混乱しておりました。
それから私は記憶も定かではないのですが、会社に戻り、自賠責の用紙を持ち出し、また警察と事故の相手がいる駐車場に戻りました。そのころには相手方もクールダウンしていたのか、「遅かったじゃないか」と言うだけで当初のような感じではなくなっていました。
そして警察に自賠責のナンバーを控えられた後、「じゃ、これで処理しとくんで。気を付けてね」と言われ警察は去っていきました。そして事故の相手方も「ちゃんと止まらなあかんで。こんなんメンドイやろ?」と言ってくれて最後は普通に立ち去っていきました。
私は「本当にご迷惑をかけして申し訳ございませんでした」と心の底から謝罪し、私も次の現場へと向かうことにしたのです。
次の現場は、最初の現場のようにそう簡単には行かなかったのです。
前編おわり。後編へと続く。