一生でこの人しか居ない!
そう思える人がいました。
出会いは大学の時。
サークルの新入部員同士で、キャラ作りをしてた俺は物静かなクールを演出してた。
後に彼女になるミカは、とにかく明るく誰とでも仲良くなるタイプで先輩にも物怖じせず「今度奢ってくださいよ~」とか言えるタイプだった。
この水と油みたいな2人が引っ付くには雷が落ちたくらいの衝撃的な事がないと難しい。
それが落ちた。
俺は買ってもらったばかりの軽四に浮かれていた。
サークル活動で離れた地域へ移動する時は、率先して運転手を買って出ていた。
ある活動後の帰り道、部員3人を送って帰る事になり2人まで送って最後に残っていたのがミカだった。
相変わらず道中は明るく、ドンドン暗くなる空を見ながら「夜景とか彼氏と見に行きたいな~」とぼやいていた。
「彼氏いんの?」
と何気なく聞いたら
「まだいないよ~。でも先輩から前に告られた」
「マジか!」
そんなカミングアウトで盛り上がったノリでドライブに連れて行く事になった。
まだ不慣れな土地の山の上にある展望台を目指して非力な軽四を唸らせながら登った。
特にミカを女として意識していなかったので、この時の展望台は大して面白くなかった。ミカだけがはしゃいで景色を見てた。
そして帰り道、調子にのってハンドリングを誤り崖から落ちた。
本当に不幸中の幸いで、高さが1メートルくらいだったのとちゃんと着地した事が大怪我にならなかった要因だと思う。
しかし2人は放心状態だった。
とにかくショックと九死に一生を得た緊張と安堵感で頭の中はグルグルしていた。
「すまん!大丈夫か!」
ミカに謝った。
ミカは目を見開いたままコッチをゆっくり見て
「生きてる?」
と質問してきた。
俺は頷いて車から出るよう指示した。
「腰が…」
当然、ミカは腰を抜かしていた。
俺もハンドルに腕をぶつけて捻挫してたが助手席にまわりミカを抱えて出した。