高校2年生の時、俺は学校のイベントでオーストラリアに14日間のホームステイを兼ねた研修旅行に行った事がある。
場所は詳しくは話す必要もないし、詳しく話してもどうにもならない場所なので、あえてここでは割愛するけど、東海岸のある田園風景が広がる田舎町。という事くらいは言っておこうと思う。
俺達は通っていた高校からオーストラリアに渡航した研修旅行組は現地に到着し、空港からバスに乗り継いで、その日の夕方にはホームステイ先の家に到着したのだった。これから一緒にホームステイ生活を過ごすパートナーとなる仲の良い同級生も一緒だった。
家族はテレビや映画で見る外国人ファミリーのステレオタイプ的な家庭で、祖父母、両親、兄、姉、弟、妹、幼児。という典型的な家族構成だった。
俺たち田園の中にポッツリと建つ、無駄にだだっ広い家に入り、8畳くらいの大きさの空間の部屋の中が俺たちがこれから生活をする部屋だといわれたのだった。
部屋の中は、窓がひとつ、ベッドが2つ、大きな全身鏡がひとつあるだけで、それ以外は本当に何もない部屋だった。
ただカルチャーショックを受けたのは、やはり海外というのか、靴を履いたまま家に上がるという事が最初のカルチャーショックだった。
ともかく、こんな感じで俺たちのホームステイ生活は始まり、それから子供たちが通っている学校に俺たちも昼間は通い、休日は車で渓流釣りに行ったり、ショッピングモールで買い物をしたりする、ああ、これがホームステイか。というような感じでホームステイの日数を消化していったのだった。
ただ、その中でも日本で生きる高校生の俺たちに馴染みがなかったのが、食前と食後の、およそ15分くらいかかる、お祈り。である。イメージとしてはキリスト教みたいに手を胸の前で組んで、並べられた食卓の料理の前で、とにかくブツブツと祈りの言葉をささげるのである。
これにはお祈り当番みたいなのが決まっているのだろう。ある日は兄がやり、ある日は姉がやり、その長い15分のお祈りはローテーションで朝、昼、夜と行われていたのだった。
俺たちはその宗教色というもに触れたのが初めてであり、この瞬間に(やっぱ海外なんだな・・)と思ったのが、もっとも強いカルチャーショックであると、今でも覚えている。
しかし、今思えば、なぜ俺が通っていた高校は、このオーストラリアの、この地域という場所をホームステイ先に選んだのだろう。と今でも疑問に思う。
というのも、初めて来たときは、初の海外という事もあり、興奮しまくって見えているようで、何も見えなかったのだが、慣れてくると見えてきたのが、この地域の特異性というか、あまりに宗教色が強すぎるエリアなのである。
家の中も、田園から車で30分くらい飛ばした、唯一といってもいい町中でも、流れている音楽、壁画、建造物等、その独特な宗教色が強いエリアなのだった。
ここで話を大幅に割愛するんだけど、結局、俺たちはホームステイ初日から1週間後くらいの土曜日、ある日突然、世話になっていた家族に、家の中で強引なまでの勧誘行為に遭う事となり、(翌日の日曜日の教会での集まりに新入会者の俺たちを紹介するために、家族たちが間に合わせたかったんだと思う)
俺たちは「なんだかもうめんどくせーから、入信した。っていう事にしたらいいんじゃね?」と、相手にわからないように日本語で相談しあい、(俺たちは語学専門コースだったので、日常会話の英語はマスターしていた)一時は、その入信をします。というような話をしたのだった。
すると今までの歓迎は嘘の歓迎だったのか?と言わんばかりの、本当の大歓迎となり、ハグされるわ、妙なプレゼントをされるわ、今までにない豪華な食事が待ってるわ。と、俺たちは、あまりの待遇の変化に、「入信するって言ってよかったなww」と目先の豪華な食事や贈り物に目がくらんでいっていたのだった。
だがしかし、後になってその宗派の事を調べると、当時はキリスト教だと俺は思っていたが、実際はそうではなく、そのエリアに居住する特定の民族だけが信仰する、言い換えれば土着信仰とも言っていいようなレベルの新興宗教だった。
後になってネットで調べると、カルト指定されている新興宗教であり、キリスト教っぽいのは、キリスト教の異端だから。という理由であった。
まぁどこにでもあるカルト系にありがちな、輸血禁止(信者間はok)とか、近親婚が盛ん、あと信者間でのSEXに対する考え方がOPEN過ぎる。というのがあった。(この最後の部分は、非信者との性交が厳格に禁止されているという事であり、その裏返しで逆に信者間においては、フリーセックス状態になっているとの事。なのでもちろん、デキちゃった婚が当たり前)
当時はこんなところまでは分からなかったが、(逆にわからないからこそ、こうして記事になる体験ができたのだが)後々、調べてみたらそんな小さなカルト集団だった。
何も知らない俺たちは、翌日の朝8時に起こされそれから車で1時間くらい飛ばした場所にあり、小さな教会の中で、俺たちの入信儀式が始まった。儀式はシンプルなものだったが、聖書的な雰囲気がある本の上に手を置き、なにかブツブツと神父的な人が言っている言葉にウンウン。とうなずくだけのものだった。
それが終わると教会あげてのパーティーが始まり、またそこでも豪華な食事とプレゼントを贈られたのだった。
そしてその宗派の立派な信者となった俺と、一緒に泊まりに来ていた相棒のSは、その夜から思いもしない体験をする事になっていくのだった。
前書き長くてスマン。本題に入る前にいったん投稿する。