この前、偶然の再開があった。それは大阪梅田にある、とあるマリンスポーツショップに、仕事中に腹が痛くなった俺は、トイレを借りにその店に入ったのだった。
するとそこには見覚えのある男が店員として立っており、「もしかしてノリ君か?」 「え、ユウタ(俺)?」みたいな偶然の再開をしてしまったのだった。
10年ぶりの再会だった。
このノリ君とは、高校の時の親友であり、お互い大学は別々の進路を選んでから関係が疎遠となり、気が付いたら一緒に遊ぶこともなくなっていた。あんがい、絆の薄い親友だったのかもしれない。
そんな俺たちは、とりあえず俺がトイレから出た後、店には客もいなかった事から立ち話をし、高校卒業してからどんな進路を歩んでいたかなどの話をし、その場で盛り上がった。
そして連絡先を交換し、俺たちは飲みに行って話すのだが、やはり、、あの時の話題が出た。
あの時の話題とは、俺とノリ君が高校3年の時、「卒業旅行、なんとでもして海外行かないか・・?」とノリ君からそんな野望をきかされ、感化された俺は、ノリ君と一緒に真剣に引っ越しやのバイトを頑張り、15万くらい貯めて、残りは親からの手伝いもあったが、勇躍、高校生2人で初のオーストラリア旅行をしたときの話である。
俺たちは金のない貧乏旅行だったので、ホテルも最低から2番目のホテルを取った。たしか、オックスフォードコアラっていう名前だった。なぜこのホテルが最低から2番目かというと、すぐ裏にキングスグロスストリートという危険地帯があるからという理由だった。
俺たちは危険地帯になるのは夜の18時を過ぎてから。だと聞いていたし、それに子供の冒険心というのか、逆にそういう場所だからこそ行ってみたい。みたいな感覚もあり、俺とノリ君はそのホテルを宿泊先に選んだのだった。
そして飛行機でシドニーへ到着し、バスかなにかでホテルの前まで行ったんだとおもう。もうそこらへんは覚えてはいない。
そしてホテルに泊まって、あとはタクシーを利用し、水族館、動物園、シュノーケル、オペラハウス、ハーバーブリッジ、買い物、と遊ぶに遊びまくった。
そして3日目か、4日目か覚えていないが、ある程度の観光スポットを制覇した感じがあった俺たちは、とうとう「キングスクロス行ってみないか」という案が出てきたのだった。
俺たちはその名前を聞いてから、何か妙な緊張と胸騒ぎを覚えながら、「行ってみるか・・・」と夜になるのを待ち、ホテルから出てそのまま人通りの少ない裏路地を歩き、そのキングスグロスの大通りに出ていったのだった。
すごい光景だった。オカマはいる、ギャングはいる、酔っ払いなんて標準クラス、ホームレス、ホモゲイ、娼婦、あらゆるこの世界の問題児たちが、その大通りを歩いていたのだった。
俺たちはとりあえず、一応観光スポットになっている、世界一大きなコカ・コーラの看板までいって、そこで引き返してくる。という計画を立てた。
俺たちはあまり周辺をきょろきょろしないようにひたすらコーラの看板を目指して歩いていくと、ただ歩いているだけなのに、青いヒゲの剃り跡をつけた居乳の男の娘に声かけられるわ、、、
交差点でまっていたらホームレスから「マネープリーズ」言われるわ、挙句の果てには、ガラスのないスプレー書きされたアメ車にのった、丸坊主でピアスつけて、体中入れ墨だらけの男たちから、空瓶をなげつけられたりもした。
「ここ、、、マジモンだわ、はやくいって引き返そう!!!」って、もう恐怖恐怖だった。
結局、コーラの看板まではたどり着く事はできなかったが、遠目に目視で確認し、「みたからok!」という事で、そのまま引き返していった。
とにかく早歩き早歩き。ホテルへ帰ろうと思っていた。すると後ろから「ヘイw ヘイwブラダーw」と、なにか男の声がした。
こんな場所に兄弟なんていないので、俺たちは別人が呼ばれているんだろうと思い振り返らなかった。すると声の男は、「ヘイw」と俺の肩を後ろからたたいてきたのである。
振り返ると、全身、黒のレザージャケットにレザーパンツ、黒のブーツ、あちこちにトゲトゲのビョウなどがついている服で、頭は丸坊主、顔まで入れ墨があり、ピアスも何個つけてるのかわからん男が立っていたのだった。
年齢は俺らと同じくらいか、そんな気はした。
その隣には、同じ系統のレザージャケットでレザーの黒のタイトミニスカート、おなじくブーツの女で黒髪ストレートの女が立っていた。女にはピアスとかは入れ墨はなかったが、顔の化粧が全部黒で、それなりに美人な感じがする子だった。この子も同じく、俺たちと同年代のように見えた。
すると男は何かタバコを吸うジェスチャーをしてきたのだった。(大麻のサインだった)俺たちは最初、こいつらが何を求めてきているのかわからなかったが、しばらくして俺は意味がわかった。「ノリくん、これ大麻売るって言ってるわ」といった。
俺たちはこんな危険な場所で、さらに危険なドラッグなど購入する気もなかったが、なにか買わないと刺されそうな雰囲気もあったので、「じゃ、少し」みたいな感じで人差し指と親指で、少しのポーズをとった。
すると女がレザーのタイトスカートを上にひっぱると、そのまま白いパンツの中に手をいれ、モゾモゾ・・・・としたあとに、小さな小袋を取り出したのだった。
出てきたのは袋にはいった乾燥大麻。俺たちは3000円くらいのドルを取られた。
俺たちはホテルに帰ってから、すぐに大麻自体はトイレに流して捨てたが、「女の子、普通にパンツの中手いれてたよなwwww そっちのほうがめちゃ興奮したわwwww」とか、盛り上がりまくった。
恐怖のキングスグロス1日目は終わった。そして翌日の話、、、
俺たちはまた買い物に出ようと、昼になってからホテルを出ようとしたとき、なんと、昨日の黒の連中が玄関で待っていたのだった。
俺は「ノリくん!あいつら・・・・」と絶句した。後をつけられていたのだった。今度は金をとられると思った。俺たちは逃げようとしたが、「ヘイw ブラダーww」と、またホテルの玄関で声をかけられてしまったのだった。
ホテルの玄関にいた普通観光客の視線が集まった。日本人がギャングにからまれかけているように見えたのだろう。
しかし、彼らには敵意はない様子だった。俺たちは「へいw ハローw」とかいって、作り笑いで彼らがいったい、何をしにきたのか知ろうとした。とにかく、トラブルだけは避けたかった。
つづく。