自営の夫が取引する企業が毎年主催している親睦旅行が今年もあり、今年の行き先はグアム島だから、今回はお前も一緒に行こうと夫に誘われた私は、色々と思案しスグに夫に行くと返事しませんでした。
確かにグアム島なら大好きな買物も沢山出来るし、海もキレイだし行きたい気持ちは山々なんですが、親睦旅行という点がなんとなく私を嫌な気持ちにさせたのでした。
夫の取引先といっても夫の方は個人企業で仕事はもらう側です。仕事を廻してもらっているその企業とは当然取引上の力関係もはっきりしていて、こちらは常に100%下の立場でその企業の人へはいつも気を使わないといけないからです。特に2代目で次期社長の専務は、前に一度ある記念パーティで夫に同行した際に顔を合わして挨拶したのですが、かなりわがままな2代目と噂されるだけあるというのがその時の私の印象でした。パーティの間中とにかくしたい放題という感じで、周りの誰もに気を使わせているのが見えて本当に最悪な印象でした。
『あのパーティの時はたまたまあんな感じやったけど普段はそうでもないし、それに今回は海外やから、親睦旅行とはいうても国内の温泉旅行みたいに宴会とかもないやろうし、だからそんな心配する事はないよ。それに今回は長谷君も行くみたいやから久しぶりに美咲も長谷君と楽しんだらええやん‥。』
『えっ、長谷さんも行くの?』
そんな夫の話で、私も結局その旅行へ一緒に行く事を決め、二人分の旅行代金を早速払い込みました。
夫がいう長谷さんは、大手メーカーの担当の営業マンで、以前夫が仕事の関係者で飲みに行った際、自宅が遠く終電に乗り遅れた彼を自宅に招き、私も一緒に自宅で飲み直していて、夫が酔った勢いで私達夫婦の秘密の趣味(3P&etc‥)を彼にカミングアウトしてしまい、その話の流れでそのまま私は彼に抱かれ、それから何度かウチに泊まりにきた彼に私はその都度淫らに抱かれていました。スーツ姿がよく似合う彼は見た目も私のタイプでエッチの相性も良くて、しばらく彼とのその関係にハマっていた私でしたが、長く間が開いてここ最近は忘れておりました。私が彼をかなり気にいってる事は夫もよく知っていたので、彼も参加すると言えば私が喜ぶと見透かし、夫は私にそれを伝えて私の表情を伺っておりました。夫が見透かした様に私はその話を聞くと懐かしく彼を思い出していました。
出発の少し前に旅行社から旅行の日程表などが送られてきました。それを見て驚いたのは、日程が旅行の全日に渡ってかなり細かに決められているみたいだったからです。
初日の朝からゴルフコンペで、その夜はコンペの表彰式と親睦パーティ、翌日はプライベートビーチで、マリンスポーツとバーベキュー、3日目は‥。
『これ、どういう事!?』『えっ、ウソっ!‥。』
『私ゴルフなんか嫌やからね‥。』
『わかった、わかった』
その夜、帰宅した夫にそれを見せながらそう言うと、夫は参ったなぁという感じの顔をし、またちゃんと聞いておくと言いましたが、結局はそのまま出発の日がやってきてしまいました。
どうなってるの?と夫に強く聞きたいところですが、久しぶりに長谷さんに会える嬉しさが強く黙っていました。
『奥さん、お久しぶりです。ご無沙汰してます‥。』『元気そうですね‥。』
空港のロビーで久しぶりに長谷さんの顔を見た私は、ひとり楽しい気分になっていたのですが、その後でやってきた専務の一言で一気に気分が下がりました。
『ぉおっ!頑張って若造りしてきましたねぇ。ハハ‥』
若い女の子ふたりに両脇を囲まれやって来た専務に気づいた私は、いつもお世話なりまして‥。と頭を下げ挨拶をしたのですが専務は私の挨拶を聞こうともせず馬鹿にした様に笑ってそう言いました。