これは私が30代半ば、とある地方で営業所長をしていたときに本当にあったエロ体験だ。
営業所と言っても、私の他に営業が二人いるだけの小さな所帯。赴任して約3年が経ち、そろそろまたどこかへ異動したいなと思っていたころのことだ。
私は月に一度、会議出席のため都内にある本社へ行くのだが、その移動に使っていたのが「夜行バス」。経費削減という単純な理由だ。
季節は7月。外はすでにうだるような暑さで、私はYシャツのボタンをだらしなく2つ開け、汗を拭きながらバスを待っていた。
田舎の、しかも平日の利用客などほとんどいるわけもなく、その日も私の他には若いカップルが一組と、スーツを着た高齢の男性だけのようだった。
バスが停留所に入ってきた。「さぁて」とカバンとコンビニ袋を持つ手に力を入れたそのとき、大きな旅行バッグを引きずって一人の女性が現れた。
一瞬、視線をやりすぐにそらしたが、私は自然に『二度見』をしていた。
年齢はぱっと見、40代前半だろうか。眼鏡をかけていたが、美人だとわかる。身体のラインにフィットしたキャミソールワンピース姿で、決して細身ではないが程良い肉感が際立っている。膝上10センチ程から伸びる生足と、露出した肩から二の腕、そしてざっくりと大きく開いた胸元…。
男の性というやつだ。その場にいた男性陣すべての視線が女性に釘付けになったのがわかった。
私は心の中で、『うわぁエロいなぁ…』とつぶやいていた。
当時、私には付き合って2年近くになる年下の彼女がいたが、元々飽き性なのか、すでに彼女への好意は薄れており、会う回数も、もちろんセックスの頻度もかなり減っていた。
代わりにこっそりと観ていたのが、いわゆる「熟女もの」「人妻もの」だった。30代に突入したあたりから、急に年上女性への憧れ、興味が出始めた。取引先や営業先でも、年上女性がいるとつい性的な目で見てしまう自分がいた。彼女への好意がすぐに薄れたのは、性的嗜好の変化が一番の理由だったかもしれない。
バス停に現れたその女性は、性的嗜好の、まさに理想そのものに写った。なんとかお近づきになりたい…。
「乗車のお時間になりますので順番にお並びください」
アナウンスが流れた。私は咄嗟に最後尾についた。女性がどの座席に座るかを確かめたかったのだ。私は毎度、一番奥の座席を陣取る。そこでこっそり一杯やって寝るのが定番になっていた。
視線だけで女性を追う。どうやら最奥に座るようだった。
~ 続く ~