あれから、幾度となく抱かれ
私の身体は完全に健一の物になった。
会社は辞めてない
お前は悪くないと健一に言われ、それもそうねと居直った。
ヘアマニュキュアの色を変え、服装も健一好みになっていく。
昔の男の視線をチラチラと感じる時がある。
感情まではわからないけど、健一が与えてくれる快感は、あなた以上よと心の中で思う。
珍しく健一の方が早く終わった日、会社の近くまで迎えに来て貰いデートをした。
「飯どこにする?」
「なんか、肉食べたいかも」
「焼き肉?」
「しゃぶしゃぶかなぁ」
「あそこ行くか」
私達がまだ友達だった時、皆で何回か行ったしゃぶしゃぶとすき焼きの店に向かった。
店に着くと個室が開いてたので個室に通して貰った。
「ここ久しぶりだね」
「そうだな」
「あの頃は、今みたいになるって思わなかったね」
「確かに」
「健一、ノンアルコール飲む?」
「俺はウーロンでいいや、明香は飲めよ」
「どうしようかなぁ」
「ちょっと飲めよ」
「わかったー」
「飲んだら誘ってくるだろ?」
健一が笑う
「もう…」
私は、初めての日を思い出して少し濡れていた。
オーダーを終え、料理が運ばれてくると私達は食べ始めた。
お腹が満たされてきて、アルコールも少し回った。
掘りごたつの下で健一の足をちょんちょんとつついた。
ん?気がつかない?
もう一度ちょんちょんとつついた。
「もう誘ってるのか?」
「いや、ちょっと…悪戯?」
「嘘つけ、顔エロくなってるぞ」
「うそ!?」
健一は鍋の中をつつきながら笑う。
最近はずっーとこんな感じ。
からかわれてるのかなぁ
「健一はしたくない?」
「どうかな」
「飽きてきた?」
「飽きてないよ」
「本当に?」
「しつこいって」
私、健一に依存してるかなぁ
ちょっと反省した。
食べ終わって健一がお会計を済ましてくれるのを見ると、彼女になったんだなって実感する。
友達の時は割勘だったもんね。
店を出て駐車場まで腕を組んで歩く。
車に乗ると
「酔った?」
「酔ってたけど、寒さで醒めたかも」
「うちで飲み直す?」
「明日会社だしなー」
「朝、送ってやるよ」
「同じ服で?お泊まりだってバレバレじゃん」
「見せつけてやれよ」
「あんたって本当にドSだわ」
「来ないの?」
「行きます。行かせて下さい」
「お前は、本当にドM」
「相性いいじゃん」
「うるせーよ」
車は走り出した。