1年前に、Y美と私で一人の男を好きになった。
松坂桃季にちょい似だから、松坂君とします。
Y美に負けないぐらい好きだったけど遠慮して告白は見送り、程なくしてY美と松坂君は付き合い始めました。
私は合コンに行って憂さ晴らししたけど、その場限りの関係ばかりで彼氏はできなかった。
私は、Y美と段々疎遠になっていった。
1年経ち松坂君から突然メールがきた。
内容は、相談があるから飯行かないか?そんな感じだった。
仕事帰りにサクッと飲もうって事になって、待ち合わせして居酒屋に行った。
松坂君は相談をしてこなかった。
居酒屋を出てからやっぱり気になって聞いた。
「相談あったんじゃない?」
「あるんだけど、恥ずかしい内容で」
「笑わないから言ってよ、力になりたい」
「場所変えようか?」
松坂君は、少しオシャレなbarに連れてってくれた。
小さなテーブル席に向かい合って座るとお互いの爪先が当たって、少し照れた。
松坂君は、ゆっくりと相談してきた。
「Y美がエッチさせてくれない」「え?まだ?」
「うん」
「キスは?」
「キスはした、胸触ったら怒られた」
「だって、もう1年なのに…」
「だよな、Y美から何か聞いてない?」
「ごめん。わかんない」
「そうなの?凄く仲良かったよね?」
「うん、ちょっと…」
「そっか、じゃあわかんないか」
「松坂君は、Y美の事が好きなんでしょ?」
「好きだったけど最近わかんね」
「エッチしてないから?」
「本当は俺の事、嫌いなんじゃ?」
「それは無いと思うよ」
「どうして?」
「あの当時は、松坂君の話し沢山してたし…」
「そっか」
私は、その店のオリジナルカクテルを一気に飲んだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫…ちょっと飲みたい気分だし」
「突然?」
松坂君はからかうように笑った。
「だって、私も松坂君が大好きだったんだよ。私ならそんな苦しい思いさせない」
言ってしまってからしまったと思った。
松坂君は真剣な顔をした。
「それ本当?」
「ごめん、忘れて」
「なんで言ってくれなかったの?」
「Y美に遠慮したの」
松坂君は窓から夜景を見た。
私もつられて夜景を見た。
「雰囲気いいな」
「カップルならね」
「カップルになっちゃう?」
「…なりたい」
私は、1年前に閉じ込めてた想いが溢れた。
「好きです」
涙が頬を伝った。
「泣くなって」
松坂君はテーブルナプキンを数枚とって渡してきた。
「いい、ハンカチある」
そう言って二人で笑った。
「だよな、女子だもな」
「そうだよ」
ハンカチで涙を拭いた。
「俺がイジメてるみたい」
「ごめんて」
「女の涙には弱いわ~」
茶化すように言う。
「だから忘れてよ」
「やだ、忘れない」
「なんで意地悪言うのよ」
「加奈子、可愛い」
「は?」
「可愛いよ加奈子」
「からかわないでよ」
「からかってない」
どうしていいかわからず、うつ向いた。
「加奈子…抱いていい?」
「はい…」
即答した自分の口は、自分の口じゃないみたいでした。