その古本屋のおじさんは、54歳の独身で、
古本屋の経営者ではなく、本人が言うには
「ただのバイト店員みたいなもの」だそう
です。近くの古いアパートで独り暮らしを
している、とのことでした。
僕は、おじさんの気を引きたくて、時々
ゲイ関係の古い雑誌とかを買ってました。
おじさんは立場上、そんな雑誌をチラリと
見ても顔色を変えたりせずに会計をして
くれてましたが、僕がそんな雑誌ばかり買ってることは分かってた筈です。
この古本屋はまるで繁昌してなくて、客と
言っても僕以外にはあまり見たことがありません。それで、ヒマそうなおじさんと世間話
をすることもありました。
しみじみと彼が言うには
「こんな年になったオッサンの、オンボロ
アパートでの独り暮らしは寂しい。」
とのことでした。
それで、僕は
「じゃあ、夜、遊びに行っても良いですか?
僕も独り暮らしで、夜は寂しいんです。」
と言ってみました。
すると、おじさんは
「ああ、もちろん、いいさ。薄汚いアパート
で恥ずかしいがね。一緒に酒でも飲もうか?」
と答えてくれました。
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