「出直そうかしら」と思いましたが、入っているうちにどなたかが来てくれるかもと思い直し、入浴することにしました。
後から来られた方に女装した変態が入浴していることをわかってもらえるように、脱衣籠にたたんだ館内着の上に花柄のメイクポーチとブラジャー、ショーツを見えるように置きました。
ウィッグをアップにしてシュシュで束ね、襟足の生え際をウィッグと判らないようにヘアバンドで押さえて、浴室に入りました。
身体を流して、浴槽の縁に腰掛け、足湯を楽しんでいると、突然、浴室のドアが開けられました。
思わず「ビクッ」としながらドアの方を見ると、ホテルの女性従業員の方が、顔を覗かせ、「お客様、こちらは男性用ですので女性用に移動して下さい」と言われたのです。
わたしは、なぜ女性従業員が来たのか訳がわからないままに、「どうして」とつぶやいていました。
女性従業員は「他のお客様から、『男風呂に間違えて女性が入っている』とクレームがあり、見に来ました。
私が男性が入ってこないように見張ってますから、早く上がって、服を着て、女性の大浴場に移って下さい」と言いました。
わたしは「困ったことになったわ」と思いながら、ここで本当のことを明らかにしないと、後でもっと大きな騒動になりそうな気がして、消えそうな声で「実は、あたし男なんです。お騒がせして申し訳ありません」と言いました。
女性従業員は、「えっ、男なんですか。でも胸もあるし、信じられない」と、軽くパニックになっていました。
わたしは開き直って、「趣味で女装します。胸も趣味が高じて大きくしてしまいました。でも男性なのは間違いありません。だから女性の大浴場には入れません。そのお客様がよろしければ、『どうぞお入りください』とお伝え下さい」と言いました。
女性従業員は「せ、責任者を呼んできます」と言うと出て行きました。
入れ替わりに男性従業員が来られて、「事情は聞きました。念のために、性別を確認させていただけますか?」とおっしゃるので、女性ホルモンですっかり退化した性器を見て頂きました。男性従業員は「確認致しました。本当に他のお客様にご入浴頂いても構わないですか?」と聞かれましたので、「はい」とだけ答えました。
しばらくすると、脱衣室から、「ニューハーフなの?本当に入っていいの?」と声が聞こえてきました。
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