「こんな本をわざわざ何冊も置いてるってことは、セックスには興味はあるのか?」
「そりゃあ、まあ…」
彼は微妙そうな顔で、頬を赤らめた。ならばと思い、問うてみる。
「じゃあ、するか?」
「するって?何を?」
「だから、セックス」
「誰と!?どこにそんな相手が!?」
「だから、俺とセックス」
「なんで!?」
「身体は女だから、セックスはできるぞ。一応ピルは飲んでるから、中出しもできるし」
「!?!」
困惑したり、疑念を持ったり、紅くなっていく彼の表情の変化を見るのが愉しく、俺の口調にもからかいが混ざっていた。混ざってはいるが、こいつとセックスするのも愉しそうだなと思った。
彼は表情を目まぐるしく変えていき、最後に
「…本当にいいの?俺ら、付き合ってないよね?」
妙におどおどした表情で尋ねてきたので、
「うん。付き合ってないし、付き合う気もない。強いて言うなら、セフレってことで」
と、事実を伝えてやった。彼は
「…いいのかなあ…?付き合ってもないのにセックスして…?」
と、この期に及んで真面目な事を言い出した。俺は呆れながら更なる事実を告げた。
「…この部屋には、付き合ってもないお嬢さんやお姉さんたちとワンナイトラブを楽しむルポが収録されてる本や、セックスをご職業にされてる方々への憧れが収録されてる本だらけなんだが、つつしまやかな事は、まずこの本全部処分してから言えよ」
「…あ」
改めて、彼は自分の願望を思い出したらしい。
「えっと…、じゃあ、お願いします…」
諦めたように、しかしどことなく落ち着かない口調で言った。
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