結局、特売の肩紐タイプの大人びたスリップと、ジュニアが身に付けるような切替スリップを一つずつ購入しその日は帰りました。
昔自分の父親はよく縮みのステテコなんかを穿いてくつろいでたもので、現代は女性用のステテコもあり、なんか時代も変わったものですね。
下宿に戻り風呂上がりに初めてスリップを着用したのですが、ショーツを穿くのと異なり明らかに女性っぽい感じがして、しかしそれでいて涼しくけっこう気に入りました。下半身にはもちろん女性用のショーツ。男性用のブリーフやトランクスでは明らかにアンバランスです。
日をあらため店に行くとオバチャンが
「どうだった?スリップ付けてみた?」
「はい、風呂上がりに。風通しが良くサラッとしてたし、パジャマ代わりになりますね」
「でしょう!(笑)……下は婦人用ショーツ?」
ちょっとドキッとしましたが、私は素直にコクリと頷きました。
「お兄さん、ひょっとしてブラジャーも身に付けてみたい?」
恐ろしい洞察力。しゃべりはしませんでしたが、実はスリップとショーツでは何か物足りなくて、たぶんアイテム的にブラジャーが足りないとは薄々感じてはいたのですが、こうもズバリ指摘されると否定できなくなりました。
「さすがにブラジャーは……」
「でも身に付けてみたいんでしょう?」
鬼、悪魔。でも図星。私は観念して
「オバチャン、鋭いッスね」
「なんかね、あなたの体型が丸みを帯びてるし、ヒップもデカイからさぁ、女性下着の薦めがいがあるのよ」
褒められてるような、からかわれてるような、とにかく周りにお客がいたら非常に恥ずかしい会話だったと思います。結局、ヒップのキーワードがきっかけで、白いワイヤーレスのブラジャーと、やはり白いスタンダードガードルを組にして購入しました。
上半身がブラジャーで下半身がガードルというコーディネート。下着売り場のマネキン人形やワコールのCMで見かけ、まさか自分が同じ格好をするとは。
この辺からですね、自分の人生が女性下着に取り込まれたのは。
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