透明なセロハンの内側に、二人の制服姿の女子高生が並んでる写真付きの内紙。今ならあり得ないスクールストッキングでした。私はこれが物凄く気になり、
「ねぇオバサン、これってパンスト?」
「ああ、それね。もうだいぶ前から売れ残ってるの。今の娘さんたちはパンストタイプだから、ガーターなんて知らないでしょ」
『ガーターベルト賞』というのは聞いたことがありましたが、どんな物なのかは知りませんでした。
「どう違うんですか?」
「ストッキングは片足ずつで長さは太股辺りまでしかないから、ガーターベルトとかガーターバンドなんかで留めるようになってんのよ」
「ガーターベルトはないけど、たしか……あったわ。ガーターバンド」
オバチャンがケースに入った鮮やかなピンク色のものを取り出しました。開けてもらい伸ばしてみると、ちょうど大学生が教科書を束ねるブックバンドのような物でした。内側に柔らかいゴムが付いてて滑り止めになってます。
「これで太股辺りで固定するの。パンストのなかった時代はこれが普通だったのよ」
「へぇー、そうなんですか」
昔、母親のストッキングが椅子に無造作に掛けられていて、丸くくるまった物が傍らにあったことを思い出しました。
「面倒だしズリ落ちてくるから。私もパンストしか穿かないのよ。」
「え、でもこれだけでしょ。だったらパンストと一緒に僕が買いますよ。それも、その何だっけ?」
「ガーターバンドね!。お兄さん、気にいったの?処分品にしておくからマケておくわ」
本音は、中身より外の包装写真が気になったんですけどね。
「(昔パンストがなかった時代の女子高生って、こういうのを穿いていたのか)」
そう考えるとなんか貴重なアイテムをゲットしたような気分になりました。
別れしな言われました。
「スカート欲しくなったら、遠慮なく声かけてね」
恐るべしオバチャン。
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