本番のステージは、あっという間の出来事でした。
それは、たった10分程度の時間でしたが、
夢の世界にいるような、そんないい気分で、
演奏をすることができました。
みんなの歌声が、いつもよりきれいに、
すごく溶け合って聞こえました。
僕も、女の子の格好で、すごくいい気持ちで
伴奏をすることができました。
審査発表があって、僕たちは金賞に選ばれ、
本選の舞台へと出場することが決まりました。
去年に続く金賞で、みんなもすごく喜んでいました。
僕も、まだここの学校に来て間もなかったのですが、
みんなと一緒に練習を一生懸命にして、
金賞が取れたこと、とても心に残りました。
思わず、みんなと一緒に泣いてしまった僕でした。
「上手だったよ」と、係員のお兄さんが、
僕のことを抱っこしてくれました。
○○先生も、
「今日の学校の中では、いちばんだったよ」
と仰ってくれて、すごく嬉しかったです。
帰りのバスの中では、かおりちゃんやゆみちゃんと一緒に、
C先生にいっぱい甘えながら帰ってきました。
学校に着いて、全員が解散をしてから、
「このあと、お話があるから、待っていてね」
とC先生から言われました。
待っている間、しばらく、
かおりちゃんやゆみちゃんと遊びました。
遊んでいる時、ユニフォームのスカートがめくれて、
パンツがいっぱい見えてしまいました。
でも、かおりちゃんもゆみちゃんも、
いっぱいパンツを見せていたし、
僕も、遊びに夢中になっていたから、
そんなに恥ずかしくはなかったです。
しばらくしてから、C先生に呼ばれました。
校長先生や先生方、僕の両親とで、お話をしました。
あと、合唱団で同級生の、
かおりちゃんとゆみちゃんも、
残るように言われたそうです。
みんなで、校長室でお話をしました。
僕が校長室に入るのは、
転校をしてきた日以来です。
女の子の格好で入るのは、この日が初めてなので、
すごくどきどきしました。
校長先生が、金賞を取れたこと、
伴奏がうまく弾けたこと、
女の子の格好で頑張ったことを、
うんとうんと褒めてくれて、
とっても嬉しかったです。
A先生、B先生、C先生も、すごく褒めてくれて、
本当に嬉しかったです。
その時に、1週間後の本選に向けて、また伴奏をしてほしいと、
A先生に言われました。伴奏をしていた6年生の子の入院が、
もう少し長引くというのです。
また、学校では、本選に向けて、壮行会が開かれ、
そこで、合唱団の演奏を披露するそうなのです。
その時にも伴奏をしてほしいといわれました。
あと、しばらくの間、学校でも、
コンクールが終わるまでの間は、
女の子で過ごしてほしいと言われました。
僕は、その話を聞いて、すごくどきどきしてきました。
女の子の格好は、最初はすごく恥ずかしかったけど、
今では大好きです。
でも、僕は本当は男の子だし、
女の子の格好も、もしかしたら今日限りかなって、
少し残念に思っていたんです。
担任のC先生が、
「ゆうさん、女の子の格好はどう?」と聞きました。
僕は、自分の気持ちに正直にお話をしました。
「もし、冷やかされたり、いじめられたりしたら
すごく嫌だけど、そういうことがなければ、
女の子の格好がいいです」って言いました。
C先生は、クラスのみんなにもちゃんとお話をして、
僕が辛い思いをしないようにすると、
約束をしてくれました。
かおりちゃんやゆみちゃんも、
「もし、何かあれば私たちが、
ゆうちゃんのことを守ってあげる」
って言ってくれました。
僕は、C先生やかおりちゃん、ゆみちゃんの気持ちが嬉しくて、
思わず涙が出ました。
父や母が、今度は言いました。
「ゆうは、女の子になってからは、
すごく楽しそうにしていて、
前の学校の頃とは全然違うので、
すごくびっくりしています」
「ゆうは、女の子の格好の方が、
生き生きとしていますね。
今日のピアノ伴奏も、
男の子で弾いていた時とは、
出来栄えが全然違ったんですよね…」
そして、できれば、この学校では、
僕が、この学校を卒業するまで女の子で通わせてほしい…と、
父からそんなお話があった時には、すごくびっくりしました。
昨日の夜、母と2人で相談したらしいんです。
「ゆうちゃんはどう?お父さんやお母さんは、
そう仰ってるけど…」
「私も、女の子の格好が好きです。
明日から、スカートをはいて登校したいです」
僕が答えると、
「では、◇◇ゆうさんは、特別に『女の子』で通う、
ということを許可します」
と、校長先生が仰いました。
そしてすぐに、手続きを取ってくれるそうです。
僕の両親が「お願いします」と言い、
かおりちゃんやゆみちゃんは、
「女の子の新しいお友達ね」って、
手をたたいて喜んでくれました。
A先生も、B先生も、
伴奏の6年生の子がしばらく戻ってこられないと知って、
予選は通過できても、
さっきまでは何だか困った様子でしたが、
今は、すごく安心している様子でした。
僕が、卒業まで女の子でいると決心したので、
すべてがうまく解決したみたいなんです。
「パパ、ママ、今日から女の子になるから、
スカート、いっぱい買ってちょうだいね」
僕は、両親にお願いをしました。
「うん、いいよ。スカート買って帰ろうね」
僕の、女の子としての第1日目は、
すごくいい日となりました。
かおりちゃんとゆみちゃんが、そばに来ました。
「明日から、ゆうちゃんは女の子なんだよね」
「うん、よろしくね」
「ゆうちゃん、呼びに行ってあげるね」
「私も…」
「ありがとう」
僕は、みんなに見送られながら、パパの運転する車で、
学校を後にしたのでした。
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