集合時間になりました。
これから、校庭で待っているバスに乗って、
予選会の会場、文化ホールに向かいます。
ぼくは、初めてなのでよく分からないのですが、
文化ホールまでは、
だいたい1時間くらいかかるそうです。
バスの中で、ぼくは、いちばん後ろの席で、
C先生の隣になりました。
バスが出発してしばらくしてから、
僕のおちんちんが、急に大きくなってしまったのです。
これまでにも大きくなることはありましたが、
しばらくして、元に戻っていました。
でも、その時は、なかなか元に戻りませんでした。
ぼくは、隣にいたC先生に相談をしました。
C先生は、ぼくのスカートの上にタオルをかけてくれて、
「大丈夫だよ、
スカートをめくって、パンツを脱いでごらん」
と言いました。
ぼくは、その通りにしました。
先生が、
「タオルを少し持ち上げなさい」
と言うので、その通りにすると、
かばんの中から小型扇風機を取り出し、
そっと風を送ってくれました。
おちんちんが、すごく涼しくなりました。
そのうちに、どうしてか、
おちんちんが小さくなってきました。
「あ、小さくなってきました」
ぼくは、すごく安心しました。
C先生は言いました。
「おちんちんはね、涼しくしてあげると、
興奮が収まって小さくなるんだよ」って。
ぼくは、そんなこと、初めて知りました。
涼しくするには、
おちんちんを出さなくてはいけませんが、
みんなから見えない場所とはいっても、
バスの中でおちんちんを出すのは、
すごく恥ずかしいことです。
でも、先生は、ぼくが困っているのを、
誰にも知られないように解決してくれました。
先生のお隣に座っていて、
すごくよかったです。
「ゆうちゃん、おちんちんが立っても、
全然気にしなくていいんだよ。
他のみんなからは、
ちゃんと女の子に見えているし、
おちんちんが立つのは、
おかしいことでも、何でもないんだから。
立ったら立ったで、そのままにしておけば、
いいんだからね」
C先生の言葉に、すごく安心できたぼくでした。
それまでは、
(おちんちんが大きくなること、
いけないことなんだ、
特に、今は女の子になっているから
そんなことは許されないんだ…)
って、思っていたんです。
文化ホールに着きました。
そこは、緑の芝生や、アスレチック広場、
噴水広場がある、すてきな公園の中にありました。
建物もすごく立派で、こんな場所で演奏ができること、
すごく嬉しく思いました。
「少し早めに着いたので、
文化ホールに入る前に、声出しをしてから、
10分ほど、アスレチック広場で
遊びたいと思います」
A先生が言うと、バスの中が歓声に包まれました。
A先生は、厳しくするところと、
リラックスするところの区別が、
すごく上手な先生だと思いました。
ぼくが、前に教わった先生は、
コンクール当日はコンクールのことだけで、
遊びなんて許されません…という感じでした。
「でも、くれぐれも、怪我には十分注意して下さい。
心と身体をリラックスするための遊びだということを、
いつも意識していて下さいね」
バスを降りたら、
文化ホールに向かって歩きながら声出しをします。
だんだん、本番モードに近づいています。
他のみんなは、声出しとリラックス遊びですが、
ぼくは、ピアノ伴奏なので、他のみんなと別れて、
ピアノリハーサルに行かなければいけません。
「ゆうちゃん、頑張ってね」
「伴奏、ちゃんと弾いて来てね」
かおりちゃんとゆみちゃんが、声をかけてくれました。
「頑張って」
B先生やC先生、他のみんなも…。
受付をするA先生と一緒に、文化ホールに行きました。
すごく大きな会場で、びっくりしました。
「ゆうさんは、ここをずっと歩いていって。
そこで、練習をしているから…」
見ると、まだ誰もいない大ホールの通路に、
数人の子供たちが並んでいて、ピアノ練習をしています。
ぼくも、すぐに列に並びました。
順番は、ぼくたちの学校はいちばん最後なので、
ぼくは、係の人の言うとおりに、いちばん後ろに並びました。
先生も並んでいました。
先生がピアノ伴奏をする学校だと思います。
いよいよ、ぼくの番です。
「伴奏が変更になって、○○ゆうさん、5年生でいいですね」
「はい…」
「では、3分間、伴奏をお願いします」
ぼくは、何もかも忘れて弾きました。
どんな感じで弾いたのか、
その3分間は、まったく記憶にありません。
「はい、時間です…」
そう言われて、はっと我に返りました。
その時、周囲から拍手が起こったのです。
ぼくは、周囲を見つめました。
「上手ー」
「さすが、○○小の伴奏の子ね」
「伴奏者が交替したって聞いたから、
どうなることかと思ったけど、素晴らしいよね」
「ちゃんと代役を果たしているね」
そんな声が聞こえてきました。
どうして、そんなことを言われるのか分かりませんし、
今までにももちろん、
そんなことを言われたこともありません。
でも、よく言われるんです。
「ゆうちゃんは、
女の子になってピアノが上手になった」って。
そんなことってあるのでしょうか。
今は女の子の格好をしているけど、
ぼくは、ぼくで、今まで通りのぼくなのに。
みんなのところに戻ると、
声出しが終わって、
アスレチック広場で楽しく遊んでいるところでした。
「ゆうちゃんもおいで」
みんなが呼んでいます。
ぼくは、得意の鉄棒のところに行きました。
そして、リラックスするために、
鉄棒に足をかけて、逆さまにぶら下がりました。
今まで、何か大きな行事があると、
こうやって緊張をほぐしていたんです。
ぼくが逆さまになると、
「ゆうちゃん、パンツ丸見え」
と、みんなが言いました。
あ、しまった、
今は、ぼくはスカートをはいていたんだ…
そう思いましたが、後の祭りでした。
ぼくは、身体をしっかりリラックスさせてから、
鉄棒を下りました。
A先生が言います。
「今のゆうちゃんのしたのは、
すごく身体がリラックスできる運動なんだよ」
「そうなんだ」
「私もしようかな」
「私も…」
みるみるうちに鉄棒がいっぱいになって、
みんな、パンツ丸出しにしながら、
鉄棒で逆さまをしています。
心も体もリフレッシュでき、
これからホール内に入ります。
いよいよ、予選会が始まります。
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