本日発生した、女子中学生連れ去り事件については次の通りです。
1 日時 平成26年10月29日 午後3時30分ころ
2 場所 市立○○中学南門付近道路上
3 犯人 △△中学3年生 ヒッポ
4 被害者 ○○中学2年 生徒会書記 ベータ 14歳
5 状況 次の通り
今日、警察で刑事さんが作って報告書の真似してます。
やられました。
全くのチャリーの油断って言うか読みの浅さが原因です。
月曜にA君から
「日曜日に、会社の近くでTに会ったけど、もう付き合わないって言ってすぐ別れた」
との報告を受けていました。
危ない。警報だ・・。
A君にTの写ってる写真をベータに見させて、Tの顔を覚えてもらいました。
この顔に、ピンときたら、すぐ逃げる。だよ。分かったね。
そしてすぐに私うに連絡の事。
そう言って注意してたつもりだったんですけど・・・。
今日、ベータを下校途中に連れ去ろうとしたのは、なんとヒッポ。
A君が一緒に居なかったけど、近くの居た2年の女子がすぐ連絡してくれました。
「ベータさんが、余所の学校の大きな茶髪の男から手を引っ張られて連れて行かれました。」
さあ、大変だ。
大きな茶髪?Tじゃない。あいつは坊主だ。
とにかくベータを探さなきゃ・・。
やっぱりチェリーはお姉様の2代目です。
放送室に駆け込みました。
全校生徒に緊急連絡。
2年書記ベータが10分前に茶髪の大きな他校の男子生徒から連れ去られた。
捜索に参加できる者は、学校周辺を捜索せよ。
発見した場合は会長の携帯に速報すること。
以上。
ああ、生徒会担当の女性の先生が頭抱えてるわ・・。
こっちは、それどころじゃない。
チェリーが南門から飛び出そうとしたら、サブの声。
「会長、自転車。」
ああ、そうだよね。
5月に拾得物として交番に届けて、8月に期限が来てもらった3台の自転車。
今、生徒会の連絡用に使ってましす。
チェリーとサブとアルファが乗りました。
チェアマンは連絡係でお留守番。
悪いけど、交通ルール無視。右側通行、斜め横断、急カーブ。
思いつく場所、次々と回ります。
いた。学校からTの家方向が大当たり。
大男はヒッポじゃないか。
どうしてTじゃないんだ?
それに、どうしてベータは声を上げて助けを求めないんだ?
ベータ、大丈夫?ベータを離せ。
大声で叫びながら自転車を乗りつけました。
自転車を捨ててヒッポに飛びつこうとして気が付いたよ。
こいつ、ナイフ持ってるんだ。
ナイフを捨てろ。もう警察には連絡した。
ああ、この一言もまずかったね。
ヒッポって、見かけによらず肝が小さいんだった・・。
警察の一言で逆上させてしまったよ。
ナイフを持ってるから冷ややかだった目つきが、困惑と破れかぶれの凶暴性を帯びてきた。
とにかくベータを離させなくちゃ・・。
そこにサブの叫び声。
「会長、どいてー。」
わー、サブのやつ、自転車でヒッポの背中に体当たりする気だ。
サブの叫びを聞いたヒッポが一瞬振り返った隙に、ベータの腰に手を回してヒッポから引き離しました。
直後にサブがヒッポをぎりぎりで避けようとしたみたいだけど、自転車ごと滑りこけちゃったよ。
しかし、良くやった。ベータは無事奪還した・・。
のはずだったけど、なぜ今度はチェリーが捕まってんの?
チェリーの右手首がしっかりヒッポのバカ力で握られてるよ。
しかもヒッポのやつ、右手のナイフをまだ握ってらっしゃる。
これって、凄くまずくないかな?
間近にヒッポの血走った目が睨んでるよ。
右手が使えないから、左手で眼つぶし狙ったけど外れた。
かえって興奮させちゃったよ。
お姉様と摩耶様に可愛がっていただいた付けが回ったね・・。
警察来るまで、刺すの待ってくれないかな・・。
「よろしければ、拙者がお相手いたすが・・・」
ああ、また貴方なの?
テニス部主将の御到着でした・・。
「貴様~、この前はよくも~。」
ヒッポ君、チェリーを離したかと思ったら凄い勢いで主将に飛びかかったよ。
しかも、ナイフを持ったままで・・・。
ああ、テニス部主将の技って、なんてきれいに決まるんでしょう。
また、この前と同じ技だよ。
ヒッポの脇の下をくぐったと思ったら、ヒッポが腕をねじられてうつ伏せに倒れてました・・。
あ、ナイフ取りあげなくちゃ。
主将、そばに落ちていたナイフを顎でサブに示して、次の通りの発言です。
「これがあると、話しがややこしくなり申す。卿が捨ててきてくださると助かるのだが・・・」
うん、そのとおりだね。それで良いでしょ。ヒッポ君。
すでに周囲は我が校の生徒100人以上が取り囲んでいます。
嫌も応もないよね。
ところで、アンタ。どうしてベータを襲ったの?
「ごめんよー、Tに頼まれたんだよー。」
ああ、もう泣きが入ってるよ。
そりゃ、殺気だった100人に囲まれれば、そうなるよね。
アンタ、Tから何と頼まれたの?
「あの子を引っ張って来いって。
そしたら、Aを子分にしてやるって・・」
本当にこいつ大バカさん。
その場に到着したA君が、殴りかかろうとしてる。
「止めんかー。
お前もバカになりたいか。
無くする者が無いバカの見本を目の前にして・・。
お前は無くするにはもったいない物がいっぱいできただろうが・・。」
これ、チェリーが言いたかった事だけど、皆、主将が言っちゃたよ。
チェリーはと言うと・・
ベータの感触は久しぶり。しっかり抱きしめてあげたよ。
もう、泣かなくて良いから。私が甘かったね。ごめんね・・。
さあ、A。今からベータをしっかりガードしてあげなさい。
「了解、会長。」
A君の元気なキビキビしたお返事。
周りの生徒から一斉に拍手。
ああ、よかった。皆の殺気が溶けたね。
ヒッポ。アンタ、命拾いしたよ。
交番所長が来たのがそれから5分後・・。
「また会長か。」
または無いでしょ。または・・。
警察署でまた取り調べ。
「危ない時は、逃げろって言っただろうが。」
ハイハイ、そうでしたね。ごめんなさい。
学校の先生方からのお小言。
「ほんとに、スノーの妹。同じ事するなんて・・。」
そうですね。先生、アールグレイをどうぞ・・。
でも、ごまかせなかったよ。
まいったね。
今日の失敗の原因は、Tが誰かに下請け仕事に出すって発想が無かった事。
まだまだチェリーは甘いよね。
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