文化祭最終日は無事終了・・。
チェリーは気にいったお茶屋敷で時間を潰します。
お留守番はサブとチェアマンね。
二人で仲良くいちゃついて。
アルファも自由行動を許可しました。
ベータは・・、A君のクラスのお手伝いしてます。
まあ、良いんだけどね。
報われますように・・。
冷たくなったアールグレイを前にぼんやりしてたら、
背後に人の気配。
殺気は無いね。ぎりぎりまで気が付かなかったよ。
誰だろうね?
「会長、昨日はお疲れさまでございます。」
このくそまじめな、かつ人のペースを乱す話し方は・・。
やはりテニス部主将でした。
「相席、よろしゅうございますか?」
どうぞ、空いてますよ。
「何かお考えのご様子、お邪魔かとも思いましたが、
お姿をお見かけして御挨拶しないのも失礼かと・・。」
ああ、昨日はありがとう。助かったよ。
今は特に考えてなんかないよ。
頭の中、空っぽだよ。
「いいえ、可愛い妹分が御心配なんでしょう?」
ああ、ベータのことか。うん、ちょっとね。
ところでAに護身術教えてたんだよね。
どんな様子?
「はあ、素直な弟子ですね。
保護者の社長さんの教育が良いと見えますが。」
うん、あのさ、Aはベータのことを何か言ってない?
「拙者には、何も。」
うーん、Aのおにぶさんは、どうする気だろう?
ベータの気持ち、気が付くかしら?
「まあ、ご心配なさらずに。
自分に向けられた恋心に気が付かないおにぶさんは
Aに限ったことではございませんゆえ。」
はあ、誰の事言ってんの?
主将は微笑を浮かべて、じっとチェリーの顔を見ています。
もしかして、私の事?
「柔道部主将を初めとして、会長に心を寄せる騎士は多数
おりますよ。
中には、会長への恋心の重みに耐えきれず、自ら相手を
変えた者もおりまして。」
それ、誰よ?私に恋心を持ってて諦めたって子は?
「ああ、やはりお気づきになっていませんね。
今、生徒会室にいらっしゃいますが。」
えーー、サブ、サブなの?
「3年になって2か月間は、完全に狂っておりましたよ。
なぜ、なぜ貴方が知ってるのよ。
サブが言ったの?
「そのぶれど、色に出にけり、我が恋は・・ですな。
見てれば分かりますよ。」
知らなかったよ。てっきりチェリーに敵対してるかと思ってた。
それに、チェアマンが好きなタイプだと思ってたよ。
「議長は最初から副会長がお好きでしたね。
まあ、今では副会長と議長が仲良くなられて、結果オーライ
ではないでしょうか。」
ああ、チェリーは見えてなかったよ。
待って。私に行為を持ってる男の子、大勢いるって言ったね。
「そうですよ。
今年の各部の対外試合や競技会の成績が上がったのは、何が
原因と思われてましたか?
あこがれの女王に、御誉めの言葉が欲しいからと言うのも
原因の一つでございます。」
いや、私の聞きたいのは・・、主将、貴方もなの?
だから、鍛練合宿の時、辛い任務を志願したの?
「拙者、正義感とか義務感とかだけで、辛い思いをするほど
お人良しではありませぬゆえ・・。」
しばらく、沈黙が続きました。
席を立ったのは主将の方。
「会長殿、今日が文化祭最終日。
お楽しみの後は、ゆっくりとお休みください。
問題が起きれば、及ばずながら会長殿の指揮のもと、全力を
尽くしますゆえ。」
最後まで、芝居がかったセリフでした。
考えてみれば、男の子とお茶をしたのは初めてだよ。
頭の中、本当にホワイトアウト。
ああ、今晩、お姉様にどう言ってご報告すれば良いんだろう?
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