昨日、お姉様のご命令で、また摩耶様のお宅にお伺いしました。
前日、一緒に海から帰ったばかりなのに?
お姉様から送っていただいて、摩耶様の別宅で摩耶様と二人だけです。
摩耶さま、バスローブの寛いだお姿でソファーにお座りになって、ワインを召し上がります。
「足の伸ばして。できれば、寛いで頂戴。」
お言葉に甘えて、足を崩させていただき、床の上に横座りしました。
「チェリーちゃん、海では気を使わせたよね。
ありがとう。」
いいえ、充分楽しませていただきました。
「本当は海で、夜に貴女とお話ししたかったの。」
摩耶様、少しお酔いになってるみたい。
「私、弟がいたの。」
知りませんでした・・。
いや、「いたの」って過去形でおっしゃたよね。
じゃあ、今は・・。
「病気で死んじゃったけどね。」
ああ、お可哀想に・・。
「可愛い子だったのよ。
外では腕白だけど、家の中では素直なの。
友達からも慕われてたわ。」
そんな良い弟さんを亡くされたんだ。辛かったでしょうね。
「私にとても懐いて優しかった。
私が、生理でお腹が痛い時なんか、自分の手を私のお腹にずっと当ててくれてた。」
本当に良い弟さんなんだ。
チェリーと大違いですね。
「違うのよ。
貴女は弟の直人そっくりなの。」
チェリー、びっくり。
「貴女のスノーを見つめる目は、直人そのものなの。
どんなにスノーから叱られても、命がけで尽くす姿は弟そっくりなの。」
チェリー、沈黙・・・。
「私ね、本当に貴女を自分のものにしたいのよ。」
ああ、今日は自分の意志では無くて、お姉様のご命令で来たんだ。
と、言うことは、お姉様のご意思は・・。
チェリー、今晩は摩耶様に全てをお任せしなくちゃいけないんだな・・。
そう考えてしまいましたよ。
でも、そうはならなかったの。
「私が、どんなに望んでも、チェリーはスノーのものだよね。
欲しくても手に入らないものって、貴女のようなことを言うんでしょうね。」
チェリー、横座りのまま、頭を深く下げました。
摩耶様に、感謝と・・、あと、好きな人を失ったことへの同情かな?を込めて。
摩耶様、ソファーで転寝してます。
チェリー、そっと摩耶様の履かれてるスリッパをお脱がせして、足先に口づけしました。
お姉様、お許しください。
それから、摩耶様をお起こしして、ベッドにお連れしました。
チェリーが寝たのは、摩耶様のベッドの横の床。
せめて、今晩だけは摩耶様に貸された番犬になろう。
そう思ったの。
お姉様や摩耶様、理子様、アズ様、ゆっこちゃん、ベータ、リンちゃん、皆の事考えてたら涙が出ました。
チェリーって、皆から見守られて、本当に幸せなんだな。
もしお姉様が亡くなられたら、チェリーどうしよう?
お姉様じゃなくても、仲間の誰かが死んじゃったら、チェリーそれに耐えられるかな?
泣きながら、いつの間にか寝ちゃいましたよ。
今日の朝、お迎えに来て下さったお姉様の腕に、しっかりくっついたのは仕方ないでしょう。
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