また警察沙汰だ~。
今学期だけで4回目だよ。
私の住む街は交番所長さん達の精勤にも関わらず治安が悪いぞ。
それに、なんでチェリーの身の回りばかりで事件が起きるんだ。
3年から1年まで約30人でぞろぞろと下校中、チェリーが3人組にやられた
場所の近所でいかにも「僕たちバカなんだよ」って言いたげなチャラチャラした
格好の二人組が若い女性に付きまとってました。
女の人、本当に困ってるみたい。
男達、女の人を近くに停めてる車に乗せようとしてるみたい。
いつもは思慮深いテニス部主将が今日は早々に
「会長、ご命令を・・。」
って言いだしました。
うーん、ベータ、とりあえず110番して。
「若い女性が二人組の男に絡まれて困っています。」
で良いから。
チェリー達と3人の距離は約30メートル。
男の一人が女の人の手首を掴んだよ。
女の人がチェリー達に気がついた。
「助けて。助けてちょうだい。」
男も怒鳴りました。
「ガキども、見るんじゃねえ。早く行け。」
うーん、女性の意思に反して手首を掴んだ実行行為があったね。
女性は明らかに助けを求めてる。
そして、あのバカのどなり声は宣戦布告だね。
みんな、チェリーの合図で大声を上げてあの3人に向かって突っ込む。
どさくさに紛れて私とテニス部主将とで女の人を救出して走りぬける。
男どもに捕まらないようにするんだ。
男を捕まえようとはするな。
刃物やスタンガンを持ってるかもしれない。
絶対、会長より前に出るな。
行くよ、突撃ー。
「ワー、ワー」
チェリーとテニス部主将が先頭を並んで走ります。
男どもが刃物を出さないか心配でした。
もし刃物を出したら、直接ぶつからずにコースを変えるつもりでした。
幸い男どもは、チェリーたちの30人の鬨の声に驚いて女の人の手を離して逃げ
出して車に乗り込んで走り去りました。
女の人は無事です・・のはずかそうじゃなかったよ。
大丈夫ですか?
「ありがとう、でもバックを盗まれたの。」
なに、それは見落としてた。
しまった。車のナンバーを見ていない。
ナンバーを見る役目を誰にも命令しなかったよ。
誰かナンバー見てる子いない?
「俺、見てます。ほかの県のナンバーだ。」
おー、前に付録ちゃん達に暴力振るったおバカ君、良くやった。
数学の試験で初めて60点を超えただけあるね。ナイスジョブ。
さあ、警察も来たし、皆お疲れさん。
解散するから気を付けて帰ってね。
チェリーも帰ろうとしたけど、そうはいかなかったよ。
また事情聴取ってやつだ。
刑事さん、私が皆の先頭にいて全部見てました。
だから、右代表ってことで私だけで良いでしょう。
他の子は帰してあげてよ。
良い?ありがとうございます。
てな訳で、今学期に入って2回目の取調室だよ。
目撃者調書っていうのを作られました
犯人二人は関西から来た前科者だって。
検問で捕まって警察署に連れてこられているそうです。
前に表彰を受けた時、チェリーが座ったまま居眠りしてたのを見抜いた警部さん
から言われました。
「30人で突っ込んだって?特攻隊かな?」
いえ、勝算あっての衝撃力の発揮です。
大声を上げることで相手を動揺させて撃退する作戦です。
「作戦成功だね。また表彰を受けるだろうな。」
あの、何故私ばかり犯罪に絡むんでしょうか?
「まあ、一般の人でも長い人生でそんな時ってあるんじゃないかな。」
うーん、分かったような分かんないような・・。
家に送ってもらったのが8時過ぎ。
お姉様、御帰りになっていました。
夕ご飯、準備してなくてごめんなさい。
「いいよ、たまにはピザでも取ろう。
街の治安維持に尽力お疲れさん。」
ああ、優しいお姉様。
たまに頂くとピザって美味しいよね。
警察の表彰より、この方がありがたいよ。
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