本日、チェリーは戦術的奇襲を受け、若干の被害を受けるも、戦略的に敵を捕捉殲滅せり。
ヒロ様から用心するように言われてたのに、チェリー油断しちゃったよ。
一人で下校途中、隣の中学のAと、先日チェリーが家を確認した高校生T、それともう一人の男から、
いきなり囲まれました。
雨降ってたせいか、気配に気づかなかったの。
「おまえ、色々やってくれるじゃないか。」
「こいつの仲間をいたぶったらしいな。」
「痛い目あわせなくちゃ分からん女らしい。」
「こっちに来な。」
バーカ、誰が敵に有利な場所に自分から移動するもんか。
脅してもダメだよ。先週こそ摩耶様の洗礼を受けたばかりだ。
全然怖くないよ。
チェリー、すっと携帯取りだして110番。
AとTともう一人から脅されてます。
Aからいきなり顔を殴られました。
携帯も叩き落とされたけど、これで戦略的にはチェリーが有利。
警察で110番掛けた場所の位置探査できると思ったの。
相手の名前も言ったし、たとえチャリーがやられても、後は警察がやってくれる。
AとTは自分の名前を言われて驚いた様子。
Aが逆上してチェリーの胸倉を掴んだから、小手返しを掛けました。
両手でAの手首を握って、思いっきり身体ごと左下に捻ったら、きれいに掛りました。
Aの身体、横向きに一回転して地面に倒れちゃった。
そのとたん、後ろから背中を蹴られました。
思わず跪いたんだけど、チェリーの膝が倒れたばかりのAの鳩尾に入っちゃた。
Aは「グエー」って叫んで白眼剥いた。痛かったろうな。
チェリーが振り向いたら、今度はTから回し蹴りを左アバラに当てられました。
ちょっと効いた。息が止まったよ。
姿勢を崩して坐ってしまったら、後ろから首に腕を巻かれました。
チェリーの正面にTがいるから、名前を知らないもう一人が絞めてる。
両手を上に伸ばして、相手の顔あたりを思いっきり引っ掻いた。
「いてーっ」って悲鳴が上がった。手ごたえから指が目に入ったね。
腕が緩んだので抜け出そうとした時、女性の声で、
「貴方達、なにしてるの?」
って聞こえました。
チェリー、大声で
警察を呼んでください。
って叫んだの。
Tとチェリーの首を絞めてた男は逃げようとしました。
Aは地面でのた打ち回ってる。
Tはいいや。名前も家も分かってる。
もう一人は逃さんぞ。
走りだそうとした男の足首を後ろから両手で掴んで、
思いっきり引っ張ったら、前のめりに倒れてくれました。
商店街の方から大人の人たちが走ってくる。
この男達に襲われました。
警察を呼んでください。
Tは逃げたけど、チェリーが倒した男は大人の人から捕まりました。
すぐ、パトカーが来ました。
最初に来てくれたのは、交番所長さんと若いおまわりさん。
次々に、制服やジャンパー姿の刑事らしい警察官が集まってきました。
女性の刑事さんから傘をさし掛けられて、初めてびしょ濡れなのが分かりました。
女性の刑事さんに付き添われて病院へ。
レントゲンとエコー検査、先生の診察の結果、
「顔面、背部打撲。口腔内出血、頸部さっか傷、左肋骨1本骨折。全治2週間」
わーい、すごい名前。重症なのかしら?
「つまり、顔と背中を打たれたか蹴られて、口の中を切って血が出て、首にすり傷、
肋骨1本にひびが入ってるってことなの。」
「骨折って言っても、テープ貼ってたら、すぐ治るよ。」
なーんだ、軽傷か。道理であんまり痛くないや。
治療が終わって、交番所長さんから聞きました。
チェリーの首を絞めていた男は、その場で現行犯として逮捕。
逃げたTも探しだされて警察署に連行されたけど、今逮捕の準備がされてるって。
高校生でも逮捕されるんですか?って聞いたら、あの二人、高校辞めてたんだって。
高校にちゃんと通っていたら逮捕まではされなかったらしいの。
しかたがないよね。自分で播いた種だよ。
その後、チェリーも警察で書類を作ってもらいました。
刑事の皆さん、手際が良いしキビキビしてて気持ちが良いの。
テレビの少し暗いイメージや、ふざけた刑事と全然違うね。
時々、目上の人から大きな声で叱られる若いお巡りさんもいるけど、
「わかりました。」
「了解」
って、すごくさっぱりしてる。
そうか、学校の運動部の皆に似てるんだ。
7時過ぎに手続きが終わりました。
刑事課長さんから、
「君の話はとっても分かりやすくて助かったし110番も良かった」
って誉めてもらいました。
女性刑事さんに付き添われてホールに降りると、校長先生と担任先生
それと、ま、摩耶様。 何故ここに・・?
「チェリーちゃん、大変だったわね。
スノー、すぐ来るわよ。」
話を聞いたけど、私が力になる必要も無かったわね。」
いえ、できればお姉様に会う時、立ち会っていただけませんか。
お姉様からお叱り受けるの怖いの・・。
急に、周りにいた交番所長さんや皆から笑われちゃった。
受けを狙ったつもりないのに?
7時45分、お姉様が来てくださいました。
チェリー、慌ててイスから立ち上がり最敬礼。
「大体の話は途中で聞いた。
今の怪我の状況は?」
はい、口の出血は止まっています。
肋骨もテーピングしていただき、痛みはありません。」
「何か私に言いたいことは?」
ご心配おかけしました。
不覚にも負傷してしまい、申し訳ございません。
「怪我は気にしないで良いよ。
生徒会長として働いた結果、戦っての負傷だ。
戦えば傷も付くさ。」
「それに、お前に会長をやれと命じたのは私だよ。
こうなるかもしれない、って覚悟はしていたつもりだよ。」
「まあ、生徒の敵3名を全て捕捉して司直に引き渡せたのは手柄だね。」
ありがとうございます。お姉様。
チェリー、また最敬礼です。
余程面白かったのか、お姉様とチェリーも回りをお巡りさんが取りかこんでました。
交番所長さんが他の警察官に、チェリーが中学の生徒会長だって教えてくれてる。
結果的に、チェリーの学校が生徒会上げて暴力に抵抗したって広まったかな。
胸を張って歩くお姉様の後について警察署を出ました。
車に乗った途端、お姉様、大変身。
「チェリー、本当に痛くないの?
大丈夫だね?本当だね?
ああ、チェリー。
私の大事なチェリー。」
チェリー、やっと二人きりになれて涙が出てきた。
ごめんなさい。お姉様。
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