中間試験、終わりました。
でも、チェリーはそれとは別に、本当に怖い思いをしました。
元子さん騒動どころじゃなかったよ。
試験が終わって下校中、高級な車がチェリーの前に停まりました。
後部座席の窓が開いて顔を出したのは摩耶様でした。
「チェリーちゃん、お乗りなさい。」
よろしいのですか?失礼いたします。
チェリー、後部座席の摩耶様の横に乗り込みました。
運転してるのは30歳位の男の人。
摩耶様から、学校の事やお姉様の事、バイヨネットの事などを尋ねられました。
「チェリーちゃん、本当に良い子ね。」
いいえ、お姉様に恥をかかせてばかりで情けないです。
「チェリーちゃん、私は貴女を欲しくなったの。」
あの・・、どういうことでしょう?
「スノーと別れろとは言わない。少しの時間だけ私に身と心を委ねない?」
摩耶様、ご冗談でしょう。私のような不束者を。
「私がスノーに命じることもできます。
でも、貴女が自分の意思で私の元においでなさい。」
できません、摩耶様。チェリーはお姉様の奴隷なんですから。
「私は自分の意志は通します。無理やりにでも従わせますよ。」
優しいお顔で、静かな口調でおっしゃいました。
怖い。本当に摩耶様は怖い方。
この方は本当にするつもりだし、その力もあるんだ。
「さあ、どうしますか?無理やりに従わせましょうか?」
チェリー、子供に戻っちゃいました。
何をどうやったらこの場を逃げれるんでしょう?
分からない。摩耶様からは逃げられない・・。絶望だよ。
チェリー、涙が出てきました。
一言だけ言葉が出ました。
死なくちゃ・・。
摩耶様、優しいお顔のままおっしゃいました。
「チェリーちゃん、死にたいの?
それなら、スノーの見ている前で嬲り殺してあげましょうか?」
「逆さ吊りにして、身体中をナイフで切り刻んであげましょうか?
可愛い胸も切り取ってあげるわよ。」
この方なら、本当になさるだろうな。
お姉様の見ている前で、チェリーを苦しめながら死なせるだろうな。
「どうしますか?チェリーちゃん。」
お姉様はお助けください。
「スノーは関係ないのよ。貴女の気持ちは?」
死にます。
「ああ、貴女も強情な子なのね。」
「あそこに行って。」
摩耶様、運転手さんに言って、そのまま黙り込んでしまわれました。
これから、チェリーを殺す所に連れて行かれるんだろうな。
死ぬところをお姉様に見られるの嫌だよ。
チェリー、きっと醜く取りみだすよ。
そんなとこ、お姉様に見られたくないよ。
必死に我慢して無表情を装ったけど目から涙が出るの止められない。
車がバイヨネットに近づきました。
やっぱりお姉様を乗せて一緒に連れて行くんだ。
チェリーのことでお姉様を責めて、罰として見ている前でチェリーを殺すんだ。
摩耶様、優しいお顔のまま何も言いません。
バイヨネットに着きました。
お姉様、理子様、アズ様、ゆっこちゃんが飛び出てきました。
摩耶様がお姉様に言いました。
「この子、死にますって言ったわ。」
お姉様、驚いた表情。
「本当にスノー、貴女の前で死なせたい位見事だったわ。
この子に力を貸します。」
お姉様、摩耶様に深くお辞儀をしました。
「スノー、この子を返します。
貴女の愛情でよく磨いてあげて。」
「チェリーちゃん。さっきの言葉は本気なのよ。
貴女はそれだけの魅力があるの。
でも、今はスノーに甘えなさい。」
「私に会いたい時はいつでもいらっしゃい。
貴女のためなら力を貸します。」
チェリー、良く分からない。
摩耶様は怖いお方。
でもチェリーのことを気に入ってくださったらしい。
今日の事はお姉様は前もって知ってたのかしら?
摩耶様がお帰りになった後、お姉様は何も言わずに
チェリーをしっかり抱きしめてくださいました。
合宿前にノイローゼぎみで、失敗の償いのために死ぬ自分を考えました。
でも、今日の方が数倍も怖かったです。
今晩はお姉様に抱いて寝ていただきたいの。
そうでないと、きっとチェリーは怖い夢を見てしまいそうです。
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