昨夜、とっても怖い夢を見ました。
夢の中でチェリーは大きな失敗をしたようです。
大勢の人がチェリーを責めるの。
ごめんなさい。ごめんなさい。
チェリー、今から死ぬからお姉様のところには行かないで。
この崖から飛び降りるから。
崖から飛び降りて身体がフワッとした感覚があって、びっくりして目が覚めました。
顔が涙でくしゃくしゃになってる。眠りながら泣くって本当にあるんだな。
そう思いながら、まだクスンクスンってしゃくりあげていました。
お姉様を起こさないように、そっと起き上って部屋を出ようとしたら、
お姉様がベッドから声を掛けてくださいました。
「チェリー、どうした?」
いいえ、別に・・。あの、ちょっと・・。
「怖い夢、見たね。泣いてただろう。」
ああ、お姉様の目を覚まさせてしまったんですね。ごめんなさい。
「チェリー、ここへおいで。」
はい、お姉様。
ベッドから上半身を起こしたお姉様の前に立ちました。
「チェリー、お前、誰かが遭難したら死ななくちゃて思ったろう。」
えっ、いえ、そんな・・。
「それも遭難した人に対してじゃなく私に対してだね。」
あの・・、はい。おわかりだったんですか?
「やっぱりね。この何日間かのお前を見てたらわかるよ。」
「あんな宗教論争したり、昨日私の話しを聞く時、思いつめた顔したり・・」
すみません。ごめんなさい。お姉様。
「OK、チェリー。良くそこまで思いつめることができたね。」
「たかが鍛練合宿、それも学校主催だ。そもそも、お前が責任を負う必要、最初から無しなんだよ。」
「でも、お前はそこに死まで見たんだ。周りから見たらバカって言われる。」
「しかし、私はお前にとって、とっても良い心の修行ができたって思うよ。」
修行・・、心の修行・・ですか?
「誰でも若い時に、一度は自分の死を考えるんじゃないかな。」
「私だってそうだったよ。
ある人は、あやふやなままその体験をやり過ごし気が付かないけど、
ある人は真剣に向き合うんだ。」
「それを死神に魅入られるって言う人もいるけどね。」
「チェリー、死んじゃだめ。でも、死を見つめて帰ってくるのは人としてすごい修行だよ。」
は・・・い。お姉様。
「よし、おいで。死神を追い払ってあげる。」
お姉様、チェリーをベッドに入れてくださいました。
チェリーをきつく抱きしめてくださる。
「チェリー、もう修行は終わったんだ。死を見なくていいから。」
「いいか、お前は私の自慢の奴隷だ。周りに見せびらかしたいのも確か。」
「でも、一番好きなのは、こうしてだっこすることだよ。」
「周りの評判は二の次。とにかく私のそばにいることが一番だからね。」
はい、分かりました。お姉様。
チェリーは、チェリーは絶対お姉様の所に帰ってきます。
今のチェリー、とっても平穏。不安も無いぞ。
死神、離れたみたいだね。
うーん、あの精神状態なら事故を起こしてるかもね。
それが死神に魅入られるってことかな?
死神さんもチェリーの修行に一役買ってくれたんだよね。
これまで、死にたがってる人の事、全然理解できなかったけど、
今は同情はしても少なくともばかにはしません。
その人も心の中で戦ってるんだなって分かったから。
でも、本当に負けて死んじゃったら修行も意味ないだ。
朝、お目覚めの時、またお姉様から言われました。
「チェリー、お前の口から
お姉様、死してお詫びを・・
のセリフは聞きたくないからね。」
分かっています。お姉様。
失敗しても、ルシファーの言葉のパクリで
たとえ一敗地に塗れようとも、それがなんだと言うんだ。
不倒不屈のお姉様への愛を失ったわけではない。
です。
もう大丈夫ですって。
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