終業式、前日。
やっぱり、恐れていた事になったんです。
「ガーデニング部の人が、優美ちゃんに話があるってよ?」同じくらすの藤崎さんが、言伝てを預かってきた。
直々の御呼びだしなんて、入学以来、はじめてだったし、知里ちゃんとも部長の直ぐ後に噂になっちゃったし、ましてや私と知里ちゃんは幼馴染み。
みんな、噂を鵜呑みに信じた。
部室に着くとガーデニング部の部長と副部長が机の上に座っていて、いかにも私を待ち伏せていた。
「お邪魔します。羽鳥優美です。」
フンッ!!って感じで部長が「アンタさぁ!大人しい顔してさっ!!知里かえせよッ!!もう、ヤったのか?知里とヤったのか?答えろよ!!」そう言って部長は私の前髪を掴み平手でビンタしてきました。
私が
「そんな関係じゃ、ありません。ヤったとか、そんなんじゃないんです!!」
頭に血が昇ってしまっている部長は
「嘘ついてんじゃねーよ!!ちょっと、ハサミちょうだいっ!!」そう言って、副部長に手を伸ばすと、副部長も
「もう、その辺にしときなよ!マジでヤったらヤバイよ」
そう言いながらもハサミを部長に渡した。
部長は、裁縫鋏を私の目の前で二三度、チョキチョキ切る仕草をすると副部長が立ち上がり私を羽交い締めにして、部長は散々、私を叩いて、髪を切り落とし制服をズタズタに切り裂いて、やっと解放された。
知里ちゃんに見つかるまいとその足で早退してジャージに着替えて帰宅した。
その夜。知里ちゃんからメールが来たけれど。
見れないまま、日付がかわった。
終業式もサボッて町を彷徨いて。
考える事は、知里ちゃんでいっぱいになっていた。
次第に町に同じ制服がちらほら現れると、私は逃げるようにして帰宅して、布団を被って自分自身に閉じ籠る決意をした。
知里ちゃんから、メールがあって
「優美ちゃん…あいたいよぉ」
被った布団の中の真っ暗の中にポッカリ知里ちゃんの笑顔が浮かぶ。
ギュッて抱き締めた時の知里ちゃんの顔や抱き締めあって交わしたキスがありありと真っ暗な目の前に鮮明に現れて、自然と涙が溢れてきた。
「私も知里ちゃんの事が、すき!!…逢いたい!!」
でも…逢って、また情を交わせば、今度は知里ちゃんに被害が及ぶかもしれない。
そう思うと知里ちゃんからのメールをじっと眺めて、知里ちゃんを思い出しては堪えるしかできなかった。
そのまま、私は知里ちゃんを避けるようにバイトにうちこんで、お正月。
近所の同級生と初詣にいこうって事になったので、久々にバイト以外でお外に出たんです。
近所に大きなお寺があって、お正月とは言え、もう4日でしたので、参拝者もまばらでした。
その中に、振り袖姿の女性2人で手を繋いで。
思わず、目を背けると一緒にきていた同級生の一人が「あれ?アレってガーデニングの部長と知里じゃない?ねぇねぇ、優美!!いいの!!優美ってばっ!!」
なんだか熱いものが目頭に沸騰してきて、同級生を振り払って帰宅すると、再び、布団を被り、殻に閉じ籠りました。
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