掲示板で募集してから10分。
彼の火照った耳に通知音が入った。
少しの不安と期待を抱き、スマホのロックを外す。
ーこちら札幌からです。顔の写真とかないの?
彼は戸惑った。何か送れる写真はないかと探しているうち、次から次へと通知が届く。
ーおじさんでよければ、いじめてあげたいな〜
ーいくらですか?犯したいな笑
ーこちら札幌40代、見た目悪く言われないです。
よければお話ししませんか?
30分と経たずに7件の通知が入っていた。
謎の高揚感と優越感が込み上げる。
ーあ、やばいかも
自分が見ず知らずの男たちの欲望の対象になっていることに興奮していたのだ。
このまま身を委ねてしまいたい気持ちを、理性が抑えた。
冷静に考えれば、相手は赤の他人。何をされるかわかったものではない。
このまま勢い任せに会ってしまえばこの先の人生にどう影響するのだろうか。
しかし、彼の興奮は冷めることを知らないどころか、危険なことだと認識するたびに増していった。
悶々としながら適当に返信を続けるうち、1件の通知が入る。
何やら他の男たちの性欲に任せたメールと違い、理性とこっちを見透かしたような洞察を感じた。
この人なら自分に危害が及ぶことはしないだろうという謎の確信を抱いた。
二時間後、待ち合わせ場所の駐車場の黒い車の助手席に乗り込んだ。