私が女装生活をするようになって1年ほど経っていました。
当初は「人に見られたらヤバイ!」なんてビクビクして室内女装だった私も、
いつの間にか女装して女として出歩くのが当たり前になっていました。
その頃には1人暮らしの部屋の室内はまるで女性の部屋のようになっていました。
ブラやショーツなどの女性用下着、女性用の服などが当たり前のように衣装ケースにいれられていて、
男用の服のほうがむしろ邪魔物のように部屋の端に追いやられている状況。
さらに、大きな鏡を設置した机にはたくさんのメイク道具などが置かれていました。
とてもじゃないけど家族が来ても室内に入れる事はできない・・・という状況でした。
ただ学校からは少し遠かったのもあり、学校の友人などが来る心配はなかったのは言い訳せずに済むし救いでした。
それになにより、
女装するのが楽しみで生きがいのようになっていたので友人と出かける事もなく、
基本的に誘いは断って直帰してはすぐに着替えて街に繰り出す・・・という生活でしたが。。。
そんな生活は突然、変化の兆しを見せ始めます。
ある日、私が学校から帰るとマンションのエントランスにあるポストではなく、
ドアポストの方に茶封筒が挟まっているのが見えました。
普段は配達物などはすべてエントランスの方で、
ドアポストなどはどの業者も使わないので、めずらしいな・・・とは思いました。
何気なくそれをとって部屋に入ると、適当にテーブルの上に封筒を放り投げてその日も女へと変身していきました。
そしてメイクも終わって出かけようかと思った時にさっきの封筒が目に入りました。
よく見るとその封筒には切手も貼られていなければ住所も書かれていませんでした。
つまりそれは配達されたものではなく、
直接誰かが持ってきて入れたものだという事です。
でもその時思ったのは管理会社からのなんらかの通知かと思いました。
騒音だとか、放置自転車だとか、その関連の周知はたまにあったので。
それで何気なく開けた瞬間に私の生活は変わり始めました。
封筒の中身は1通の手紙と、無数の写真でした。
そこには女装して部屋を出入りする私の姿、
女装してショッピングしている姿、
女装して女子トイレに出入りする姿、
女性物の下着を干している私の姿、
そして同じ部屋に出入りする男の私の姿、
私が学校に登校している姿。
頭が真っ白になって何も考えられなくなりました。
「・・・何・・・?」
やっと出た言葉はそれだけでした、それしか言えませんでした。
ずっと秘密で楽しんできた、女装友達みたいな人を作る事もなく、
誰かと深くかかわる事もなく、もちろんカミングアウトだってしてない。
「・・・なのになんで?」
そして1枚の手紙が入っている事も気づきました。
そこにはこう書かれていました。
『いつもお前を見ている。
最初は部屋の中で女装を楽しんでいた。
我慢できなくなって夜中に近所を散歩するようになった。
慣れてきてからは、ほぼ毎日のように学校から帰ると女へと変身して出かける。
休みの日には朝早くから女になって出かけている。
女性用ランジェリーを堂々と干している。
女装している時はトイレも女子トイレを使用しているが、それは犯罪行為になる可能性がる。
今回はお前の秘密を知っている人間がいるという挨拶だ。
また連絡する。
忠告しておく。
次以降の手紙にはなんらかの指示をしておく。
絶対に逆らわず指示のとおりに行動する事。
逆らった場合、近所、実家、親せきなどすべての家、学校、過去の級友の自宅などに写真と、お前の名前と女装している変態だという事をバラす。
女装趣味、秘密にしているんだろう?』
目の前が真っ暗になった気がしました。
一気に血の気が引いた感じがしてテンションもダダ下がり。
すぐに女装を解いてその日は何もできず、外に出る事もできず引きこもっていました。。。
しかし「いつ届くのか・・・」とビクビクしていた封筒は翌日も、その次の日も届くことなく、
結局1週間ほどなにもありませんでした。
「あれは何だったのか?イタズラ?にしては・・・」
そんな考えがグルグル頭の中をめぐっていました。
あれ以降、怖くて女装はしていませんでした。
そんなある日、ポストに封筒が・・・切手もなし。
やっぱり、私は逃げられたわけではありませんでした・・・。
その日の手紙は私の予想を上回る内容でした・・・