(つづき)そんな、お互いの「程合い」がわかり、じらし合い長引かせ合える感覚は、これまでの(女性を相手にした)どんなセックスにもなかったものです。そして、そんな感覚で、やがて、お互いがもう我慢の限界に達したことも、よくわかりました。どちらからともなくその行為をやめ、上体を起こしたあたしたちは、どちらからともなく抱き合い、深いキスを交わし合いました。お互いのものから分泌した「味」が、口の中で混じり合い、あたしはそれに、しあわせを感じました。‥‥この人となら、こんなふうにわかり合えるんだ。その「しあわせ」は、こちらをやさしく見つめてくる彼の瞳の中にもありました。でも、うずきつづけている体に「決着」をつけなければならないことも、お互いよくわかってました。「ちょっと、待っててね」彼の体から離れたくないという思いを抑え、そう言ったあたしは、ベッドを立ち、さっき化粧直ししたときにミラーの前に置いたバッグをとって、急いで戻りました。そして、ふたたび強く体を抱いてきた彼の腕の中で、バッグを開け、ふたつのものを取り出しました。ひとつはコンドーム(そのホテルにも、当然備え付けのものはあったんですが、それより、あたしの買ってきたものの方が、グレードが高そうだったので)。そしてもうひとつは‥‥。「なに、それ?」「ん? ‥‥ローション」あたしが顔を赤くして小さな声で言うと、彼は「やっぱり、そこまでシミュレーションしてたんだ」とからかうように言いました。「もお」あたしは、キスでその口をふさいでから、「『ロストバージン』に怯えてる女の子の気持ちがわからないなんて、男の子って、デリカシーないのね。クスン」とふくれてみせました(今度は実際に泣いたわけでなく「クスン」まで含めてセリフです)。「ふふ、ごめんね」彼はそう言って、キスをお返ししてくれました。そのあと、あたしが、コンドームの袋を破こうとしたところで、彼がまた言いました。「それ、つけないと、やっぱり心配?」LINEや電話でのやりとりで、お互い、ここ一年以上、(配偶者を含め)誰とも性交渉はなく、その手の病気も持っていないことは、よくわかってました。「ううん、そういうことじゃなくて、マアくんにいやな思いさせたくないから」「かおちゃんとなら、いやな思いなんてしないよ。それに、そのために、さっきかおちゃんは、きれいにしたんだろ」「‥‥いいの?」「ああ。僕は、かおちゃんをナマで感じたいし、かおちゃんの中に証拠を残したいんだ」その言葉に、あたしは、ふたたび彼に抱きつき、キスしてました。「じゃあ、あたしが塗ったげるね」彼の唇から口を離したところで、あたしはそう言って、ローションの小瓶を手に取りました。とろっとした液体を手のひらに出し、あぐらをかいた彼の真ん中で突っ立っているものを両手で包むようにして、塗っていきました。ぬるぬる滑る手の中で、彼のものがまた、ぐいッ、ぐいッと、大きくなりました。あたしはそれを、(まるで子供の頃やった粘土遊びのように)楽しいことだと感じてました。彼の方は、後ろに両手をついて上体をそらし、天井を見上げるようにして、その刺激に耐えています。塗り終えたあたしは、そんな彼のほっぺたに「チュッ」とキスし、ローションの瓶を手渡しました。「ここから先は、男の子がリードしてくれなきゃ、女の子には、どうしていいか、わからないわ」あたしがまた、冗談めかして言ったのに対し、彼の方は、真剣な顔で見つめてきました。「ほんとに‥‥いいんだね?」その言葉と表情に、あたしは、彼が、これからしようとしていることを、重大なことだととらえてくれていることに、つまり、あたしのことを(女として)大事に思ってくれていることに心が震え、真顔になってうなずきました。と、彼はあたしの頬を両手で包むように持って、キスしてきました。そのキスにも、真剣味がこもっているように感じ、あたしも唇を強く押しつけました。でも、そこに、真剣さと同時に、緊張のようなものがあるのも感じ、やっぱり、彼をもっと気軽にしてあげようと思いました。「そうだ。こういう時、女の子には言わなきゃいけないことがあるのよね」「‥‥ん?」彼が問い返すように見てきたので、あたしは、うつむいて、上目づかいにおびえた表情をつくり、言いました。「初めてだから、やさしくしてね」一瞬、彼はまた真剣な顔で見つめ返しましたが、あたしの芝居がかった表情に、「ふふ」と笑い、今度は強引なキスをしながら、あたしを押し倒しました。そこからしばらく、また、お互いの体をまさぐり合い、じゃれ合うようなキスをつづけましたが、やがて、彼の唇が、あたしの首筋から乳首、おへそ、ガーターベルトへと下りていき、もう一度、あたしのものを軽くくわえたあと、さらにその下へと移動していきました。「‥‥ぁんッ、ぃや‥‥んん」彼の唇がアヌスに触れたところで、あたしは大きく体をふるわせました。
...省略されました。