ぼくが、女の子の格好を初めてしたのは、5年生の頃のことでし
た。ぼくの通っている学校には合唱団があって、その合唱団の女の
子用のユニフォームを着て、コンクールの予選に出たんです。本番
直前に、伴奏者だった6年生の子が、急病で入院してしまい、ぼく
がその代わりをすることになったのです。
でも、その年は男子の入団者がいなかったので、合唱団の本番用
のユニフォームが、あいにく女子用しかなかったのです。だから、
ぼくは、女子用のユニフォーム~白いブラウスに赤いリボン、紺色
のプリーツスカート、白いハイソックス~を着て、本番のステージ
に立つことになったのでした。
最初は、女の子用のユニフォームを着る時は、すごく恥ずかしか
ったです。でも、合唱団のためだと思って我慢することにしました。
コンクール前日の衣装合わせの時、合唱団のみんなの前でユニフ
ォームを着た時は「すごく似合ってる」「とってもかわいい」って
言われて、何だか嬉しかったです。ぼくは、普段から髪の毛が長く
て女の子に間違えられていましたが、その時は、女の子っぽくして
いたこと、よかったって思いました。
両親も、「みんなの役に立つことだから頑張りなさい」と応援し
てくれました。そして、「せっかく女の子のユニフォームを着るん
だから」と、女の子の下着も買い揃えてくれたんです。
コンクール当日、ぼくは、女の子としてステージに立ちました。
女の子のユニフォーム姿をみんなに見られるのは、やっぱり恥ずか
しかったです。でも、そのことで、ピアノを弾く緊張をいつの間に
か忘れてしまっていたんです。合わせる時間が短くて、うまく弾け
るけるか不安だったけど、ミスもなく、最後までしっかり弾けまし
た。合唱団は、無事に本選に進むことが決まったのです。