Y劇場には週のうち半分は顔を見せる常連さんが四~五人いて、その中でS
と言う名の年配者がボスと呼ばれている中心人物です。
彼らは場内での目に余る過激なプレイにブレーキをかけたり、ゲイが忌み嫌
う女装者とのトラブルの仲介に入ったり、紛れ込むプロを撃退したりと、館
の経営者にとっても役に立つことがあるので、彼らの多少行き過ぎた行動で
一部の客から反感を買う場面があっても黙認されているようです。
彼らは普段は専らロビーにたむろして、雑談を交わしながら入場してくる客
の品定めをしており、眼鏡にかなった男が来ると後ろについて場内へ消えて
行きます。
まれに若い男の子が来ると100パーセント間違いなく彼らの餌食になります。
中には中学卒業したてくらいの年齢の子もいて、遊ばれた後は甘言に釣られ
て好事家の手に渡されているという黒い噂もあります。
女装子場合も常連さんは絶対的な存在で、彼らに逆らうことは事実上入場禁
止に等しいことになります。先日も指示に従わなかった子が、休憩時に明る
い照明の下で、「お前のような病気持ちの売春オカマは帰れ!」と大声で罵ら
れて泣きながら帰って行きましたが、二度と来ることはありませんでした。
後で仲間に聞いたら、ごく些細なことが原因だったようです。
実際彼らの女装子に対する横暴は目に余るもので、退屈しのぎに客席で女装
子に自慰を強要したり、時には見世物にした上、客の自由に扱わせたりして
自分の権勢を誇示して満足しています。
しかし女装子にとって、出会い系サイトや公園系には予測できない危険がい
っぱいで、それに較べて映画館は安心して遊べる数少ない場所のひとつなの
です。
様々な欲望を満たすために集まる場所の裏側には、表社会とは違うここだけ
の世界があって、日々それぞれが暗闇の中で蠢いています。