私ゆりは敬子の提案もあり、放課後は敬子からピアノの個人レッスンと称してピアノ教室を使う許可を申請してもらいました。学校側の回答は今までも敬子に自由にピアノの練習に使っていたのだし、他に使う予定はないので快く許可を得ることが叶ったのです。敬子としたら一応、職員室の廊下にピアノレッスン希望者は事前に担任の教師に申込書の提出を呼び掛けるような感じの紙を貼り出しはしたのですが、あまり目立たないのでほとんどが2人の教室みたいなことになりました。毎年新入生が入学して数日は見学者はありますがレッスン希望者は皆無でした。人前では『先生』と『竹内さん』と呼びますが、2人の時は『敬子』って私は呼び捨てで呼び、逆に『ゆりさん』と呼んでくれています。ネコとタチの関係が自然成立しました。学校生活の場においては人前では教師である立場上の敬子の振舞いは上から目線って感じですが周りに人気がなく2人だけの空間が少しでも生まれた場合、お互いどちらからでもなく歩み寄り見つめ合い敬子がゆりに頭を委ね、ゆりは敬子を軽く抱きしめてやります。