レズビアン体験告白

瑞樹…！

小雨の中、傘もささずに走る歩道ですれ違いざまに聞こえた、その時だけは聞きたくなかった声…
でも…結局、最後に私を救ってくれたのは、その声でした…

念願かなって女子大に合格し、とあるサークルに入部した私。
まだ友達もいなくって、周りの空気になじめていない私に優しく接してくれた先輩…
彼女は、先輩部員の中でも、ひときわ輝いてて、サークルの全員から慕われている方でした。

そして、夏の合宿、ありがちなお話…かな、初めて声をかけていただいた時から私と彼女は急速に親
しくなり、あの合宿の暑い夜…私は彼女の胸の中にいました…

その夜は、暑くて眠れず、少し涼もうと外にでました。
もう、夜中の3時、まさか誰かいるとは思わず出た、寄宿舎の庭先…先にいたのが彼女で、先に気付
いたのも彼女で…

瑞樹、どうした…こんな夜中に…？

逆につっこみたい気持ちになりましたが、その場は抑えて…

はい…少し涼みに…

…とだけ。

二人っきりの真夜中…しかも、一人は憧れの先輩で…
男性恐怖症の私にとっては、彼女の存在は、意識するなと言われても、そんなの絶対無理な存在で、
この時、何かを期待せずにはいられませんでした。

私の気持ちを見透かしているかのように、近づいてくる彼女…
そこから、一歩も動けなくなってしまっていた私…
月明かりの中、無言で抱き締められ、唇が重ねられ…

それから続く、彼女との日々…
夏の合宿が終わった直後から、彼女は私の部屋に入り浸りになりました。
最初の頃は、ゼミがある日とバイトの日は、各々、出かけ、帰ってきては食事をともにし、夜は愛し
合う…そんな生活…普通の同棲生活でした。
でも、恋は盲目…始まった直後なんてそんなものですよね。
いつしか、二人は、ゼミにもバイトにも出ず、寝ている時と食事の時…いいえ、食事の最中でさえ愛
し合うようになり、出かけるのなんて、食料の買出しの時くらい…
そんな生活ですから、友達とのお付き合いもおざなりになってゆきました。

私には、高校時代からの親友がいました。
彼女とは、高1からの付き合い…と言っても、友達としてですが、とっても気が合い、同棲生活が始
まった後も暫くは、付き合いがありました。
でも、同棲していることや、私が同性愛者であることは話せませんでした…彼女には、嫌われたくな
かったんです…ずるいですよね…

そして、二人の生活が、荒んでいってからは、彼女とのお付き合いも疎遠になってしまい…と言って
も、電話やメールは、頻繁にありました…疎遠になってしまったのではなく、疎遠にしてしまったん
です…。

年に一度の彼女の誕生日にも、何も連絡せずにスルー…

生活は荒んでも、不自由はありませんでした。
彼女の俗に言うお嬢様で、毎月の仕送りの金額が半端ではなく、私がバイトに行かなくなってからは
部屋代さえも払ってくれてました。

それから、暫く後、私は実家の用事でどうしても出かけなくっちゃならなくなって、一人で部屋を出
ました。
用事が思った以上に早く終わり、何か得した気分で、お土産を買って、部屋に帰ると…
ここからはご想像通りです…部屋にいるのは、一人のはずなのに二人いる…一人は私が愛した人、そ
して、もう一人は、私が絶対部屋に上げたくなかった男性…しかも、私達だけのものだったはずのベ
ッドの上で…

そのまま、部屋を飛び出しました。
中から、呼び止めるような声が聞こえたような気がしましたが、覚えてません。

相手が女性なら…他の女性に取られるなら、まだ、自分をごまかせたかもしれない…

流れるままに涙を流し、走る歩道…
いつしか、小雨が降り始めてましたが、傘なんて持ってません…
そんな中、すれ違いざまに聞こえたなつかしい声…

瑞樹…！

通り過ぎてしまってから気付く…出逢いも、人とのお付き合いもそんなものなのかな…その時、私は
実感しました。

連絡がつかなくなってから、何度か、大学を訪ねてくれ、それでも駄目だったので、部屋に様子を伺
いにきてくれるところだったそうです。

呼び止められた後、その場で、彼女に抱きつき、そのまま泣いてしまいました。
彼女は、訳も分からないまま…でも、私が落ち着くまで、抱き締めていてくれました。
一度は裏切った私の為に…誕生日にすら、連絡をいれなかった私なのに…

彼女は、友達であり、親友であり、私を救ってくれた恩人であり…

その後は…ご想像にお任せします♪