時刻は夜の十一時ぐらいになっていましたが、おじさんは寝ようとする気配すらありません。日付が変わるころに一旦お風呂に入って、上がってからもまたエロ本を鑑賞しつづけている僕のそばにやってきては、「キミはどんなのが好き?」「一番興奮したページをおじさんに教えて」などとうざったく話し掛けてくるのです。 僕は彼のことを適当にあしらいながら、今まで見ることがかなわなかったエグいエロ本を次々と舐めるように眺めていきます。 そしてそのころにはもう、高鳴る心臓を止めることができず、全身に興奮を行き渡らせていました。ドクドクと。 だから、おじさんが「マッサージをしてあげる」と言って、床に寝そべってエロ本を読み続けている僕の足に触れてきたときも、たいした抵抗はできなかったのです。 おじさんは僕の太ももの後ろあたりを、執拗に揉み込みはじめました。 正直、マッサージされてさらに興奮しました。 他人の手が、肌の上を動き回る感触。よく考えれば、誰かにこんなにも身体を触られたことなんてありませんでしたし、身体が火照って、熱くなるのも仕方のないことでした。 温かい春先の夜。お風呂に入ったあとなのに、僕の身体はじっとりと汗ばみはじめたのです。 おじさんは僕の身体の変化に敏感に気がついて、「暑かったら服を脱いでもいいんだよ」と言ってくれました。 僕はその言葉に甘えて、Tシャツとトランクスだけの姿になりました。 リラックスするために靴下も脱いで裸足です。男子中学生の生肌が存分にさらされた格好。 今思えばそうとうにヤバイ感じです。何をされても文句の言えない状況だとは思いますが……その時の僕はエロ本に頭をやられていて、自分の姿がおじさんにどう映っているのかなんて気にもなっていなかったのです。 おじさんは、「じゃあ布団を用意してあげよう。今日はここで寝るといいよ」と言って、エロ本が散乱する和室の中に僕用の布団を敷いてくれました。 今まで床に広げていたお気に入りのエロ本を、そのまま布団の上にまで広げ直して、さらにリラックスして興奮を楽しむことができるようになりました。 そしてこうなると当然、オナニーのしたさというのは限界を越えてしまいます。 そばにおじさんがいるっていうのに、ハァハァと荒い呼吸をしてゆっくりと腰を布団に押し付ける僕。 オナニーそのものといった感じで、ぐるりぐるりと腰全体が動いてしまっていました。 おじさんは、そんな僕のことをやさしく見守ってくれていたのです。「興奮する?」「いいんだよ、おちんちん気持ちよくなっても」「ティッシュはそこにあるからね。出したくなったら出してもいいよ」 などと言って、トランクスから延びた僕の白い太ももをさすってきます。 さすがにどんなに興奮しても、人前で自分のおちんちんをいじることなんてできませんでしたが……僕の興奮状態は傍から見ても大変なことになっていたはずです。 エロ本に集中しながらも、気を抜くと「あぁ、あぁ」と、喘ぎ声のようなものまで出る始末。 そんな僕の身体を、おじさんはいつまでもやさしくさすってくれていました。 キレイとはいいがたい中年男性の指が肌を押し込んできても、どうすることもできません。 ああ、やっぱり本当にホモなんだこの人──。 僕なんかの身体でも触りたいものなのかかな──。 なんて思ったりするだけで、危機感というのも、あまりありませんでした。 ホモの気持ちなんて想像すらできなかったですし……。 おじさんにしてみれば、エロ本なんかよりもずっとエロい男子中学生の肉体がそばにあり、それが触り放題なのだから──とんでもなくおいしい状況だったんですけど……当時の自分はまだ、おじさんの立場に立って考えるという知恵もなかったのです。 年配の男性にとって、「若く瑞々しいカラダ」というものがどれほど価値のあるものかも、まったく理解できていませんでしたし……。 ──というわけで、僕は父親にでもマッサージしてもらっているかのような気安さで、おじさんに身体を揉ませ続けていたのです。 その間に、彼の中でどす黒い欲望がむくむくと成長していることにも気づかず。ただひたすらに、エロ本の中の女体にだけ集中していたのです。 放っておいたせいで、おじさんの手は僕のカラダ全体に行き渡っていました。 最初は太ももを丹念にもみこむことから始まって、次は生のふくらはぎをマッサージ。そして裸足の足の裏から、足の指の一本一本まで、丁寧に揉みほぐされていきました。 正直、気持ちよかったです。運動部でもないただの男子中学生に、マッサージなんてされる機会はあまりありませんからね。 それらは慣れない感触とともに、興奮しきって今にも爆発しそうなペニスにまで心地よい快感を伝えてきていました。「はぁ、はぁ、はぁ……」 興奮を隠さない呼吸をして、僕はおじさんのマッサージを受けながら、また新しいエロ本を広げ、さらに艶かしい女体に目を走らせていきました。「気持ちいいかい?」 おじさんにそう聞かれたときも、僕は素直に「うん、気持ちいい」と答えていました。 今思えば、それはもう「犯してもらって構いません」と言っているのと何も変わらない返答だったと思うんです。 けれど当時の僕は本当にピュアで、ただ素直な感想を口にしてみただけだったんです。
...省略されました。