中州の有名な館も閉館になった。二つ並んで右は普通のポルノ館、左はご存じ
男同士の館。昔風の分厚いカーテンをくぐって入ると、通路の左右に四畳ほど
の照明なしの小部屋。1分ほどすれば目が慣れておおよその具合がわかる。
公式には喫煙室らしい。壁際に木のベンチがしつらえてあり、何組かのカップル
が抱き合っていたり、そそり立つペニスを愛撫されながら、キスをしているもの
も多い。部屋の真ん中に立つと熱い吐息が耳を撃つ。60代の初老の男。後ろから
僕を抱えて右手は胸を触り、左手は僕のジーンズの股間を触り、すでに固く勃起
が始まった高まりを巧みに愛撫する。腰の当たりに違和感があって手をやると、
まるでそれ自身が別の生き物のように熱を持って呼吸している男根に触れた。
そして暗闇から、恐らく昼間は建設現場で働いているだろう50代の屈強な男が
すっと現れて僕の頭を斜めに抱いて、タバコの脂臭い息を吐きながら唇を吸った。
僕はまるで女の子のようにあえぎながら男に舌を吸われた。男は慣れた手つきで
僕のベルトをはずし、ファスナーを下げ、そこだけは苦労して勃起したペニスを
引き出した。僕は初老の男の男根を強く握りしめた。
屈強な男は僕の耳に舌を這わせてから、意外に優しい声で囁いた。「オニイチ
ャン、チンポナメサセテモラウヨ」息が止まるほど技巧的な吸飲であった、何度
もの射精を堪え、いよいよの時に男の五分刈りの頭を引き離して難を逃れた。
僕は呼吸を整えてロビーに出た。受付兼売店の50代初めくらいの女性が一人座
っていた。ジュースとポテトチップスを買って受け付けに手を付いてフウーっと
息をついた。「お客さん初めて?」と聞いてきた。「初めてですよ」「凄い刺激
だったでしょ?狙われた?」なんて言うのです。「こんなとこ初めてですよ」と
いうと女性は「有名みたいですよ。週末には四国や広島当たりからだってお客が
来るんですよ。九州全土とね」と言うのです。
「おばさん長いんですかこの仕事」と言うともう13年だという。「へえ、20代
からですか」と言うと「お上手ねえ、幾つだと思う?」などとうち解けた会話の
後、「8時10分にあの喫茶店の前で待ってて」と言わせるまでに進展。その先は
この板の本意ではないでしょうから割愛。
その愛すべき映画館が閉館になったという。九州の伝統ある男色文化の灯が、
また一つ消えようとしています。