禁断の木の実

俺が25歳の時、父の急逝により家業を継ぐために田舎に帰ってきた。
その２日後、偶然に高校時代に恋していた彼女と出会った。その日の晩、彼女から呑みに誘われた。あまりの嬉しいさに下心たっぷりで誘いに乗っていた。
予定通り、呑みも早々にラブホに行って朝まで過ごした。勿論、また会う約束をして帰ってきたが、有頂天はここまでだった。
その後、彼女と連絡がつかなくなってしまった。聞こえてくる話はよくないものが多かった。
彼女の父親が経営していた工務店は５年前に廃業したらしい。それを機に就職した建築会社も先日倒産した。そこの専務と付き合っていたようだが倒産の１週間前から姿を消しているとか。
専務は中学の先輩だ。そんな状況でなぜ俺なんかと関係を持った。なぜだ。最悪の日々だった。
まもなく、専務が帰って債権者に詫びたらしい。
二人も結婚して子供も生まれた。計算すると俺と再会する前に妊娠していたようだ。
勿論、あれ以来会っていないし連絡もない。だから真相は分からないが、一時の気の迷いで俺に託そうとしたのかもしれない。


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