禁断の木の実

今日はね予定を大きく変えて二人で買い物に行ってしまいました。
「そんな話ならしなくてもいい」って？
すみません。
◇◇◇がねどうしても花火がやりたいって言うんですよ。それで少し離れたホームセンターまで買いに行ってきたんです。
今は二人とも大きなマスクをしてるのでバレないだろうとは思ったんだけど用心のためです。
◇◇◇のアパートの近所の公園でバケツを持って行って来ましたよ。もちろん妹も、そしてナント、母親も参加でした。
子供らは大はしゃぎでね、あんなに喜んでくれるなら娘が退院したら二家族合同で派手にやろうかな、なんて思ってます。●●●も喜ぶだろうなあ……
もうすぐです。もうすぐ家に帰ってきます。
検査通院はあるけど家に●●●が居ないと何だか大きな空洞の中にいるみたいで寂しいもんですよ。
帰ってきたら花火をたくさん買ってあげよう。
◇◇◇も「●●●ちゃん、早く退院するといいな」と言うと妹も保育園に来ないから淋しいと言ってくれます。
別れ際に母親から花火のお礼を言われたんだけど「まるで二人とも本当のパパみたいになついちゃって、迷惑じゃないですか？」と言われました。
「迷惑なんてとんでもない、二人には娘が世話になってますから」と答えると
「◇◇◇なんてパパにベタベタで、おませでホントにごめんなさい」と、意味深な上目で微笑むんです。
(やっぱりこの女は全部知ってるんだ)
そう確信させる目付きでした。
◇◇◇は本当にあの母親の子なんだろうかと疑いたくなります。もしかしたら離婚して亡くなった元亭主の連れ子なんじゃないだろうか。まあ、もしもそうだとしたら◇◇◇にとっての闇は益々深くなるわけで……
追求はやめときます。

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