姫の体調はどうなんでしょうか。いきなり台風のあとからこの猛暑です。
あまり無理をしないで下さいね。
沙絵に思いきって電話をしてみました。
昼に経過をLINEもしておいたんですけど……
まあ、普通に出てくれて普通に挨拶をしたあと
「ななが、何かした?」と、
「いや、七瀬はいい子だよ、大丈夫」
「ん、ならいいけどさ、で?、なに」
「まあ、うちはいいんだけど、七瀬のためにはヤッパリはやく家に帰った方がいいと思ってさ、」
「ななは、何て言ってる?」
「もう大丈夫だって、でも、……」
「でも?なに」
「ママが怒ってるだろうなって、心配してるよ」
「当たり前だろ、心配かけやがって、手当たり次第に探したんだぞ。お前から連絡がなかったら警察に届けるところだったよ」
「ん、それを聞いて安心したよ」
「大丈夫だから、心配しないで帰ってこいって、言っといて、……怒ってなんかないからって」
実は電話は音声がオープンになっていて七瀬にも聞こえていました。
七瀬にスマホを向けて話すように促しました。
「ママ、……ごめんなさい、心配かけて本当にごめんなさい」
「てめえっ、どれだけママが心配したと思ってんだよ!、帰ってきたら……帰ったら……もー、くすぐりの刑10分だからな、覚悟して帰ってこいよ」
「ながっ、… 5分にならん?」
「んー、わかった。5分な、、で? いつ帰ってくるんだ?」
七瀬が私を見ます。
「これからでもいいぞ」私が言うと
「ママ、ゆーちゃんパパがこれからでも送ってくれるって」
「そうか、でもみんな明日も仕事があるんだから、明日電車で帰ってくれば?」
また七瀬が(いい?)と言うように私を見るので頷くと「わかった。そうする」と、
昼にLINEで、七瀬が自分の居場所を見失って、発作的に家出をしてしまった経緯を送っておいたんです。七瀬はパパにも、ママにも疎まれていると思い込んでしまった事を。
七瀬は心が帰る場所を失って放浪したのだと、
だから、七瀬をママとして抱き締めてやってくれないか、と。
返事はなくて、心配してたんですけどね、
案ずるより産むが安し、
レズの事はもちろん口にしてないけど、沙絵だって七瀬には長い年月、ネコとしての愛情があるわけで、可愛い訳ですよね。
明日、電車で帰すと妻に言ったら、金曜までいてもらって車で送ればって言うんです。
七瀬に聞いたら嬉しそうに頷くので早速さっき沙絵にLINEしたら了解と返してきました。
「そのかわり7分に延長だと、ななに言っといて」と、
七瀬にくすぐりの刑ってなんだ?
と訊ねると
「そのまま、むっちゃ本気でくすくられるの」と、笑います。
「なんか、セクシーな光景?」と言うと
「ゆーちゃんパパ、やらしっ」と笑います。
とりあえず、七瀬の件は収束の目処が立ちました。
さっき2階のトイレに入ろうとしている七瀬とすれ違うときに七瀬が小声で囁きました。
「邪魔しちゃってごめんなさい……ななせもそんなに子供じゃないから、気にしないでシテもらって大丈夫ですから…」頭をペコリと下げました。
「おいおい、」照れて返事に詰まると「ひひっ」と笑って
「ママが、叔父さん達って、きっと毎日してるって言ってたから、……それ、ほんと?」
「こら、バカな事を言ってないでねろっ」
「はぁ~い、」と言ってトイレに入るとドアの向こうから
「ホンとだったんだ、」って声が……
疲れた数日がやっと、終わります。
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