なんだか、うんと、……って感じです。
母には、兄が一人いて、もうとっくに亡くなってるんどけど、病気でね。
俺たち姉弟は周りの好奇な噂から父親がその、母の兄だって知るわけです。
沙絵は、母が自分の弟の下半身にイタズラをしている現場を目撃して以来、母とは一切の口を聞かなくなりました。
ついでに弟の私にもです。
母の勤める店の客が家に来て沙絵に目をつけました。
母と結婚するとすぐに沙絵に手をつけます。
まもなく沙絵の妊娠が発覚して、堕胎を受けたのが中の2です。
そのクソ野郎と母は離婚、
沙絵は荒れていきます。
それでも俺達は高校に行かせてもらい、二人とも披露宴などはしなかったけど結婚もしました。
沙絵は七瀬をつれた旦那と結婚し、私は千佐子と結婚して一年後には優美が産まれています。
沙絵には子供ができませんでした。
千佐子の父親は公務員を勤めあげて、今は関連会社、いわゆる天下り先でまだ働いています。
堅物で頑固だと千佐子から聞いていたけど、初めて会ったときには笑顔で迎えてくれたものです。
千佐子の体格の特殊性を随分と心配されていたようです。
「娘は嫁に行けるのだろうか……」と、
年下でたより無さそうだけど、真面目に働いて、若くして役職ももらってる事から私を信用し歓迎してくれたのだと思います。
披露宴をと勧めるご両親を千佐子と二人で押しきって強引に家を買いました。
正直なところ、頭金はご祝儀として出してもらっています。
そんな義父母を私は裏切れないし、千佐子も当然両親を悲しませるような真似は絶対にできないはずです。
そんな恩知らずな腐れた女じゃないですから。
姫の提案通り、でも、やんわりと父母を悲しませないで欲しいと伝え、沙絵にもそれを理由に別れ話をしてみようと勧めました。
「嘘じゃないんだから、説得力はあるだろ?」と言うと
「うん、明日、沙絵に言ってみる」との事です。
姫の推測が当たってるなら、沙絵と千佐子の闇は、パパが思った以上に複雑で、根深いところにあるんだなと思います。
沙絵の初めての男って、前にも書いたけど母の兄なんですよね。
つまり、沙絵の父親です。
何らかの理由からクソ野郎にその事を知られて脅迫、体を要求された。
私はクソ野郎と母との修羅場を見ていたときに、そんな話が怒号と共に飛び交っていたのを思い出しました。
その時には何の事だかよくわからなかったんです。
そして、最近までずっと忘れていました。
沙絵は、本当にかわいそうな女なんです。
死ぬほど我が身を呪い、忌み嫌い、苦しみ抜いて少女期を懸命に生きていたのだと思います。
沙絵の言うとおり、私なんかには絶対にわからない地獄を歩いてきた女なんです。
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