あのね?
実は神様を信じてはいない。
いや、「いなかった」
千◯子に会うまでは、むしろ神を呪って忌み嫌っていた。
本気で愛せる女なんてこの世にいるはずがないとも思っていた。
千◯子をみた瞬間に落雷を受けた、とか、雷に打たれたとかよく言うけど、本当に衝撃的だった。
姉と同じ制服を着た小学生の可愛い女の子が家に来たんだ。ほぼコスプレに近かった。
チャイムがなって、ドアを開けるとその可愛らしい子供が頭を下げた。
長い、腰まである長いストレートの髪が眩しかった。
休みの日だったのに何故か制服をきちんと着ていたのが印象的だった。
「あの、沙絵さん、いますか?。私、沙絵さんのクラスメイトで今日、約束していたんですけど」
小さくか細い声で……
あまりの事に呆然と見つめていて、千◯子の声がまるで水の中で聞くように響いていた。
「おーっ!きたかっ!わりーわりーっ!コンビニ行ってた、上がれよっ」
姉が帰ってきて大きな声で重たい空気を戻してくれた。
正直、ホッとしていた。
ペコリと頭を下げて私の横を通り過ぎるとき何だかすごくいい匂いがして、階段を上がる後ろ姿を見ながら神を信じてみようかなと思った。
神を信じたのは生まれて以来あの日が初めてだった。
母は、あの時の母は、私をどうしたかったのだろう。
とうとう頑なにセックスだけはしてくれなかった。
じゃあなぜ毎日テコキで息子に射精をさせたのか……
なんであんな男と再婚したのか。
私も姉も、それによって持たなくて良いコンプレックスを持たなければならなかった。
母は言わないけど実は知っている。
俺と、姉は父の子じゃない。
父は母と結婚して子供ができなかったはずだ。
世間の噂好きなババアどもの口に戸は立てられず、まだ子供だった私たちの耳にもいつしか聞こえてしまっていた。
信じたくはなかったけど、否定する材料はみつからなかった。
まるで食べ物の好き嫌いまで似るように、何故か血は受け継がれる。
母と母の亡くなった兄、私と姉、私と美優……
そして多分今は姉と義姪……
血は受け継がれていく。
姫は、私に沙絵を女として見たことは無いのかと言った。
思春期の私には、いや、その前に多感な年だった沙絵には私の存在は忌み嫌う、恐ろしいような存在だったに違いない。
私の前で着替えたこともなく、肌も晒さず、性的な感情を自分に持たないように徹底的に管理をしていた。
洗濯籠に母の下着はあっても沙絵のものが入っていたことは無かったと思う。
それなのに、あの畜生ジジイは、沙絵を強姦した。
私の知る限り、沙絵にとっては初めての男だったに違いない。
半年以上もあいつの慰み物になって、耐えて耐えて耐えていた。ただただ、毎日耐えていた。
妊娠が発覚、
堕胎と共に、ようやく地獄から解放されたが、沙絵の心には決して埋まる事のない傷口が開いて、そこからは今も血が流れ出していて決して癒える事がない。
私の傷など沙絵に比べればごく浅く、とるに足らない程度のものなんだ。
その、沙絵の心を唯一、癒していた恋人を、忌み嫌い魔物のように恐れていた弟に寝取られた。
沙絵の想いは如何ばかりだったろうか。
幸い、姉と姪に血の繋がりはない。
そういう意味では沙絵の血は、沙絵で裁ち切ることかできるのだろう。
私と美優は、きっと受け継いでしまうに違いない。
なんのためにこんなことを書いてるのか……
誰ももう読んではいないだろうに。
いや、だからこそ書けるとも言えるわけか。
やっとこのサイトに相応しい告白になったのかも知れないね。
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